驚きの落選だったが、予期していないわけでもなかった。
 
 昨年秋、 U-19アジア選手権(1次予選)のメンバーリストに三好康児(川崎)の名前はなかった。世代の中軸になると見込まれていた男の不在と思えば意外だったが、発表前に行なわれた8月のSBSカップ国際ユース大会の時点で、内山篤監督は三好のコンディションが大きく落ち込んでいることを懸念していた。

「能力は知っているが、しかし90分やれない選手を呼ぶわけにはいかない」
 そう語り、落選の可能性も示唆していたのだ。
 
 実際、本人も「去年は試合にも絡めない中で試合勘もなくしてしまって、(コンディションは)良くなかった」と振り返る。高卒1年目の選手が陥りがちな“U-19病”だ。高校3年生まではチームの主軸選手として試合中心に心身のコンディショニングをしてきた選手は、公式戦の機会がなくなるプロ1年目に身体と心の状態の双方を落としてしまう現象で、過去のU-19代表が敗退していった一因である。早生まれの三好は、他の選手より1年早く、その状態に陥ることとなっていた。
 
 そこで今年は、通常の全体練習以外に「個人的にトレーニングをする時間を作って、走りのメニューもこなしてきた」と、状態の改善に取り組んできた。原動力になったのは「(1次予選に)落ちた悔しさがあったし、なによりチームで試合に絡めない悔しさがあった」ことである。
 
 結果、内山監督も「自分で自分のコンディションを作っていくのがプロ。三好は2年目になってそれができるようになったのではないか」と認めるほどに、状態は向上していった。そうすれば、試合に出る機会も増えていく。試合に出られれば、特にメンタル面での状態が上がる。その好循環で三好は「今、すごくいいです」と言い切れるコンディションを獲得している。
 
 加えて、川崎のトップチームで揉まれる中で、確実に向上した部分がある。それは「相手を外す動き」だ。
 
 高校時代までは足もとでボールを受けて、そこから持ち前のテクニックで打開していくシーンが多かったが(そしてそれができる選手だったが)、今は「足もとだけでなく、動きの中で相手を外すことを意識している」と、自然とボールを受ける前の予備動作が増加。それは大久保嘉人や小林悠といった「本当に良い見本だし、勉強になる選手たち」から盗んできたものであり、「(中村)憲剛さんや(大島)僚太さんから要求されてきた」ものでもあり、なにより「プロは結果。結果を残すために必要だった」ものでもある。
 
 10月14日から始まるバーレーンでのU-19アジア選手権。先の欧州遠征ではフランスと対戦し、「U-20ワールドカップに出て、ああいう相手とまたやりたい」という思いも新たにした。「チームを引っ張る責任があると思っているし、アジアでしっかり結果を残したい」と固く心に誓い、フロンターレの麒麟児は世界への決戦に臨む。
 
 
取材・文:川端暁彦(フリーランス)