先ごろ、U-16アジア選手権で4強入りし、来年のU-17ワールドカップに2大会ぶりの出場を決めた日本だが、今度は来年韓国で行なわれるU-20ワールドカップへの出場を懸けたU-19アジア選手権が10月13日から開催される。この大会に挑むU-19日本代表が10月3日から静岡県内で国内最終合宿を行ない、同5日にはJ1の磐田と45分×1本、磐田ユースと45分×1本+30分×1本のトレーニングマッチを行なった。
 
 この試合で若き日本代表に課せられた主なテーマはコンディションの調整だ。特にU−19の世代は所属クラブでレギュラーを務める選手や途中からピッチに立つことが多い者など、実戦感覚のところで様々な状況に置かれている現実がある。
 
「まだ少し疲れが残っている選手もいれば、まあまあいい感じの選手もいた。ここからみんな同じような状況で(現地に)行きたい」
 チームを率いる内山篤監督もゲーム勘の向上を選手たちに求めた。
 
 指揮官が強くこうした要求をするのも、前回大会にコーチとして帯同していた経験があるからこそだ。
「中2日で3人しか交代出来ない中でサッカーをするので、基本的には90分間動けるというのが前提で連れて行かないとおかしい。45分しかプレー出来ない選手が3人いたら、交代枠はそこで全部使うことになってしまう」(内山監督)という選考基準で、今回のメンバーを選んだことからも、いかにコンディションを重視しているかが分かる。
 
 とはいえ、個人によって試合勘に、大きな差があるのは紛れも無い事実だ。実際にこのゲームでもその違いは大きく表われており、4−0(1本目0−0、2本目2−0、3本目1-0)で勝利を収めたなかで状態の良さを示したのは公式戦のピッチに立ち続けている選手たちだった。
 
 特に所属クラブでポジションを掴んだ冨安健洋(福岡)の存在感は抜群。1本目ではCBとして185センチの高さを存分に生かすと、2本目はダブルボランチの一角としてチームを牽引した。52分に奪ったゴールシーンは圧巻で、中盤から一気にゴール前へとボールを持ち運ぶと左足を一閃。本人も自身のプレーに手応えを感じており、「気持ち的にも(J1で)試合に出ているので引っ張っていければいいなと思っている」と自信を得ていることを明かした。
 
 その他にも、J1でレギュラーを掴んでいる中山雄太(柏)やJ3でゲームに関わり続けている堂安律(G大阪)は安定感のあるプレーを披露し、遠藤渓太(横浜FM)は2本目からの出場で見事に2得点を奪取。公式戦で出場機会を得ている彼らが、このチームの屋台骨を担うことを再確認する結果となった。
 その一方で出場機会の少ない者のプレーぶりには大きな不安を抱かせる。例えばエースとして期待される小川航基(磐田)は、Jのピッチにほとんど立っておらず、ゲーム勘が不足していることを露呈。指揮官も「ジュビロとも役割は違うし、前の選手も違う。でも、ゴール前のところで仕事をするのが大事」と彼の奮起を求めた。ただ、初戦のイエメン戦は15日。残り10日で状態を上げ切るしかないのが現状である。彼らの状況がチームの結果に直結することは間違いない。
 
 U-20ワールドカップへ最後に出場したのは香川真司や内田篤人を擁して挑んだ2007年のカナダ大会。10年間阻まれ続けてきたが、止まった時計の針を再び動かすことが出来るのか。アジアの4位以内(U-20ワールドカップの開催国・韓国が4位以内に入った場合は5位まで)に入ることで得られる出場権は、選手たちの試合勘に掛かっていると言っても過言ではない。
 
取材・文:松尾祐希(サッカーライター)