[ロシアワールドカップ・アジア最終予選]日本 2-1 イラク/10月6日/埼玉
 
 香川真司に代わってトップ下を任された清武弘嗣は、ワールドカップ予選では今年3月のアフガニスタン戦以来となるフル出場。“清武カラー”がにじみ出るパフォーマンスだった。
 
 立ち上がりはイラクが積極的に攻め込んできたため、ファーストプレーは6分。その後は11分にバイタルエリアでシュート、13分に岡崎慎司へのスルーパスと、開始15分でプレー回数はわずか3回にとどまった。イラクの2ボランチ(アムジェド・アットマン、サード・アブドゥルアミール)が中央を絞りつつ、どちらかが清武にマンツーマン気味につくことで、清武へのパスコースを消されていた。
 
 しかし、そこから左ウイングの原口元気と入れ替わってサイドに出るなど、清武が“横の変化”を入れると、局面は一気に変わる。26分、ドリブルで駆け上がって右サイドの本田圭佑にパスを出すと、ボールホルダーを追い越してコーナーのスペースを突き、原口の先制ゴールをアシスト。その1分後には、ゴール前のこぼれ球に飛び込んで本田のシュートを演出するなど、「攻撃の中心」としてチームを牽引した。
 
 さらに、前半終盤間際から徐々に増えたのが「清武・本田・岡崎」というユニットでの崩しである。56分に岡崎の落としたボールを清武が運んで中央の本田へクロス、65分には岡崎→清武→本田とつないでアタッキングサードへと侵入。CFの岡崎が「キヨ(清武)とは良い関係ができた」と振り返るように、3人が絶妙な距離感で連動した動きを見せた。
 
 清武は相手GKが傷んでプレーが止まった16分、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督から念入りに指示を受けていた。その内容を問うと、「なるべく岡ちゃん(岡崎)の近くにいろ、と言われていた」そうだが、続けて「そういうのも意識しながら……」と自分なりの“アレンジ”を加えていたことを明かす。
 
「ハリルさんのサッカーでは、なかなかトップ下はボールをたくさん触る感じにはならない。じゃあ、そのなかでどうやってリズムを作るのか。もう、出して動いて、出して動いてを繰り返すしかない。今までは結構考えすぎてしまうところもありましたけど、今日は規律を守りながら少し自由にやってみようかなと思いました」
 肝となるのは、“規律を守りながら、少し自由にやってみよう”という部分。トップ下は選手が密集するピッチ中央が主戦場ゆえ、プレー回数が限られてしまう。だから、流動的にサイドへ流れることで攻撃の起点になる機会を増やしていたのだ。
 
 9月に行なわれたホームのUAE戦では、トップ下の香川が中央にステイする時間が長く、ボールを受けるプレーを制限されて目立った活躍ができなかった。一方でイラク戦の清武は、プレー回数39回のうち、左(10回)、中央(12回)、右(17回)と各エリアで偏りなくプレーを展開している。「トップ下・清武」の“柔軟性”と“適応力”が垣間見えた試合だったと言っていいだろう。

【清武のプレーデータ】※以下、( )は前半/後半の回数。データは編集部集計
プレー回数:39回(19回/20回)
→アタッキングサード 8回(4回/4回)
→ミドルサード 29回(14回/15回)
→ディフェンシブサード 2回(1回/1回)
 
パス数:30回(16回/14回)
パス成功数:26回(14回/12回)
パス成功率:86.7%(87.5%/86.2%)
 
シュート数:3回(2回/1回)
ボールロスト:6回(4回/2回)
 
▼清武がパスを出した回数(選手)ランキング
1位/本田圭佑/7回(3回/4回)
2位/岡崎慎司/6回(1回/5回)
3位/長谷部誠/4回(2回/0回)
        吉田麻也/2回(1回/1回)
        森重真人/2回(2回/0回)
        酒井宏樹/2回(2回/0回)
        山口 蛍/2回(0回/2回)
8位/原口元気/1回(1回/0回)
       柏木陽介/1回(1回/0回)
       酒井高徳/1回(1回/0回)

▼清武がパスを受けた回数(選手)ランキング
1位/岡崎慎司/6回(3回/3回)
2位/本田圭佑/5回(1回/4回)
   原口元気/5回(2回/3回)
   森重真人/5回(2回/3回)
5位/長谷部誠/3回(2回/1回)
6位/柏木陽介/2回(2回/0回)
      酒井宏樹/2回(2回/0回)
8位/酒井高徳/1回(0回/1回)
   山口 蛍/1回(0回/1回)
   小林 悠/1回(0回/1回)

 ▼イラク戦・2列目のプレー回数 ※スタメンのみ
本田圭佑 40回
清武弘嗣 38回
原口元気 27回
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)

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