試合運びに問題があったとはいえ、勝ったことは素直に喜びたい。ここで引き分けて、次のオーストラリア戦を迎えるのとではメンタル的にも大きく違うからね。

【日本vsイラク|PHOTOギャラリー】山口の劇的弾で苦しみながらも勝利を掴む!
 
 それにこの1勝は、前回ホームで逆転負けを喫したUAE戦の?トラウマ″を払拭し得るものになるかもしれない。
 
 イラク戦も先制しながら後半にセットプレーで追いつかれた。選手もそうだし、観客も「またか…」という思いがよぎったと思う。
 
 実際、失点後は危ない場面もあったわけで、どっちに転んでもおかしくなかった。そのなかで、山口蛍の鮮やかな一撃が決まったのだ。追いつかれても突き放せるという成功体験を得られたことで、チームにまとわりついていた不安は取り除かれたんじゃないだろうか。
 
 UAE戦では嫌な負け方をしたけれど、「ホームでやれば勝てる」という雰囲気がまた戻るかもしれない。そういう意味でも、1勝以上の価値はあったと感じる。
 
 ただ浮かれてばかりはいられない。冷静に振り返ると、内容は決して褒められるものではなかった。
 
 まず、目立ったのが自分たちのミスからボールを簡単に失う場面だ。ピッチコンディションが悪かったせいかもしれないが、思わず「もっとボールを大事にしろ」と言いたくなったくらいだ。そんな状態では、自分たちのペースで試合を進められるはずがない。
 
 セカンドボールへの反応や1対1の局面での守備は良くやっていたと思うが、こうしたミスが多かったために、終始バタついていた印象は拭えなかった。
 
 それから、UAE戦やタイ戦と同様に、追加点のチャンスがありながらそれを台無しにしてしまう「悪癖」にはウンザリさせられる。
 
 この日も、ゴール前で清武弘嗣が身体を張ってつないだボールを、本田圭佑が決めきれなかった。利き足ではない右足でのシュートだったとはいえGKと至近距離だったのだから、冷静になれば十分に決められただろう。
 
 2-0にすればもっと楽に試合を進められるのに、絶好機を簡単に逸してしまう。まるで、自らの首を絞めているようなプレーがあるのは気掛かりだ。もっと2点目を奪う意識をチーム全員に持ってもらいたい。
 また、前回のタイ戦で、明らかに調子の悪かった香川真司をなぜ90分起用したのかという話をしたけど、今回も同じようなことが起こった。明らかにコンディションの悪い選手は早い時間に交代させるべきなのに、ハリルホジッチ監督はなぜか使いたがる。
 
 イラク戦に限って言えば、本田は明らかに精彩を欠いていた。ボールを持っている時はまだしも、セカンドボールに対する反応にいつものキレがない。ミランでベンチに追いやられているため、ゲーム勘やスタミナの低下が露わになったのだ。
 
 それなのに、なぜハリルホジッチ監督は本田を80分過ぎまで引っ張ったのか、不思議でしかたない。キープ力やここぞの勝負強さがある本田に頼りたくなるのは分かるが、前半の出来を考えると、後半の10〜15分過ぎに交代させるのが妥当だろう。その分、小林悠をもっと長い時間使ったほうがまだ良かったと思うが……。
 
 普段、試合に絡んでいない選手のコンディションは確実に落ちることくらい、監督も分かっているはずだ。実際、この試合ではドルトムントで出場機会を掴んでいない香川を先発から外しているんだから、実績にとらわれず臨機応変に選手を起用してほしい。
 
 いずれにせよ、最初にも言ったようにこの試合の収穫は勝ったことだ。イージーミスがあったり、不用意なファールをしたりと、なんとなく締まらない戦いを続けているのは気になるが、劇的勝利を受けてムードが変われば安定感が生まれるかもしれない。
 
 今の日本の実力を出し切れば、オーストラリアに敵わないはずはない。敵地で厳しい戦いになると思うが、ぜひ勝利を奪ってほしい。