[ロシアワールドカップ・アジア最終予選]日本 2-1 イラク/10月6日/埼玉
 
 清武弘嗣にとって、山口蛍のゴールは特別なものだった。「元・C大阪のチームメイト」のスーパーな決勝弾を演出したから、だけではない。今後の戦いにおいて、ロンドン五輪世代がチームを牽引していくという、明確な“メッセージ”を示すことができたからだ。
 
 2014年のブラジル・ワールドカップ、15年1月のアジアカップを経て、同3月にハリルホジッチ政権が発足しても、チームのベースは相変わらず北京五輪世代である。本田圭佑、岡崎慎司、長友佑都、吉田麻也を脅かすタレントは皆無。最大勢力に次ぐロンドン五輪世代も、清武を筆頭に、宇佐美貴史、原口元気が台頭しているとはいえ、全体的に伸び悩んでいる印象は拭えなかった。
 
 なかでも攻撃に関しては、岡崎、本田、香川真司(89年生まれでロンドン五輪世代だが、北京五輪に出場)への依存度が高かった。ブラジル・ワールドカップのアジア予選がスタートした2011年以降、ワールドカップを懸けた“真剣勝負”の場には、必ず3人のいずれかがピッチに立ってきた事実からもそれは明らかだ。だからこそ、81分以降、初めて岡崎、本田、香川がいない状態で戦い、勝利をもぎ取ったことには大きな意義がある。
 
「試されていたと思う。3人が引っ張っていたチームで、誰もいなくなったなかで取れた1点。チームの底上げをする意味でも大事な1点だし、またワールドカップに行くために勝利につながる大事な1点だった」
 
 今年6月のキリンカップに臨んだ際、清武は「いつまでもアピールというより、自分が引っ張っていかないといけない立ち位置だし、年齢だと思う」と、先頭に立っていく覚悟を力強く語った。そして、訪れた“実現の瞬間”――。
 
 逞しさを増した清武は、ロンドン五輪世代の旗頭から、日本代表の不動の存在へとのし上がるべく、新たな一歩を踏み出した。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)

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