[ロシアワールドカップ・アジア最終予選]日本 2-1 イラク/10月6日/埼玉
 
 1-1で迎えた81分、本田圭佑が途中交代し、“ある状況”が生まれた。長年、日本代表の攻撃を牽引してきた本田、岡崎慎司、香川真司の3人が、誰ひとりとしてピッチ上にいなかったのだ。
 
 もちろん過去には、キリンカップや国内組を中心に戦う東アジアカップで、3人が不在の試合はある。しかし、ブラジル・ワールドカップのアジア予選がスタートした2011年以降、ワールドカップ予選、アジアカップ、コンフェデレーションズカップといった主要大会では、必ず3人のうちの誰かがピッチに立ってきた。それだけに、山口蛍の決勝ゴールによって挙げたイラク戦の勝利は単なる1勝という価値にとどまらず、近い将来に日本代表に訪れるであろう世代交代を示唆するものと言えまいか。
 
 この日の2得点すべてに絡んだ清武は、3人が不在のピッチで「試されている」と感じたという。
 
「3人が引っ張ってきたチームで、誰もいなくなった中で取れた1点。チームを底上げする意味でも大事な1点だった」(清武)
 
 アジア最終予選に入り、高徳と宏樹の“ダブル酒井”が3試合フル出場、清武も2試合に先発して計3得点に絡む活躍、さらにタイ戦に続き2試合連続ゴールを決めた原口元気、劇的な決勝弾でチームを救った山口と、ロンドン五輪世代が存在感を強めている。さらに、リオ五輪世代の浅野拓磨が台頭し、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が「私は常に若い選手を呼びたいので、信頼して使い続けていきたい」と話している背景もある。
 このイラク戦が、世代間のヒエラルキーに「変化」をもたらすきっかけとなるのか。本当の意味で、本田や香川、岡崎を押しのけて主役を担う選手は出てくるのか。次の難敵・オーストラリア戦の結果が、“ひとつの答え”になる可能性はあるだろう。

取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)