[ロシアワールドカップ・アジア最終予選]日本 2-1 イラク/10月6日/埼玉
 
 劇的な勝利を飾った陰で、岡崎慎司はストライカーとしての「本能」を抑え、必死にチームのために戦っていた。
 
 この日は前線の4人で唯一のシュート0本。13分、清武弘嗣の浮き球のパスに合わせてペナルティエリア内に侵入するもフィニッシュに持ち込めず、後半開始早々には清武のスルーパスに抜け出したものの、ボールが足につかずにチャンスを潰した。
 
 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、先のメンバー発表会見で「我々は引き付ける役としてFWを置いています」と語った。それはつまり、「ゴールゲッターの役割が最優先ではない」と言い換えてもいいだろう。前線で起点を作ろうと身体を張り、守備も精力的にこなすのが岡崎の持ち味でもあるとはいえ、史上3人目の代表通算50ゴールに王手をかけてから、4試合足踏みしている現状には少なからず物足りなさを感じる。
 
 岡崎はイラク戦に臨むにあたり、「自分がやるべきこともう一回整理して」、求められている役割のなかで「最適な1トップ像」を模索していたという。
 
「アジアのCBはデカいから、足もとでもらおうとしても、(プレーを)読まれていたら相手のほうが優位になる。自分が前に張っている状態だと、相手の思うつぼ。今日はある程度サイドに逃げたりとか、ふらふらと引いて下がってみて、自分のポジションを空けておいてそこに走り込むこともできた。やっと、1トップがまずやるべきことがなんとなく理解できるというか、感覚的に掴めたかなと」
 
 イラク戦の仕事を「1トップのベース」(岡崎)とし、そこからシュートを含めて相手の脅威になるプレーをひとつずつ増やしていく――。得点に関しても、チームの状況に合わせて動くなかで、ゴールを陥れる“ヒント”を手にしたようだ。
 
「今日はシュートを打てなかったですけど、自分が点を取るために動くんじゃなくて、まずはチームの流れを見ながら自分が動く。そのなかで、相手の陣形が崩れた時に、自分が点を取るタイミングを探すというのが、俺がこのチームで生きる道だと思います」
 
 もっとも岡崎は、最後に「もう少し自分が点を取る形も模索していいと思うけど」と付け加えることも忘れなかった。この長い葛藤を乗り越えた先に、ハリルジャパンでの新たな「ストライカー・岡崎」のスタイルがあると信じたい。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)

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