“リーチ”がかかってから、なかなか待望の瞬間が訪れない。
 
 岡崎慎司が日本代表の試合で最後にゴールを記録したのは、6月3日のキリンカップサッカーのブルガリア戦。開始4分、柏木陽介のアシストから得意のヘディングシュートでネットを揺らした。

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 これで代表通算49得点目。大台の50得点まであと1点となったが、その後、同大会のボスニア・ヘルツェゴビナ戦(先発→79分交代)、ロシア・ワールドカップのアジア最終予選のUAE戦(先発→66分交代)、タイ戦(ベンチ入りも出場なし)、イラク戦(先発→75分交代)でゴールを決められずにいる。
 
 本人に焦りがあってもおかしくない。ただ、ゴールから遠ざかっているのは、特にここ最近は、岡崎のプレーに対する姿勢が関係しているのかもしれない。
 
 ストライカーにはエゴイストなタイプが多いが、岡崎はとにかく利他的で、献身的だ。
 
「チームのために自分がやることをやりたいし、試合に出るなら、チームのためにゴールを決めるべきだと思うし、チームのためにプレーするべき」
 
 繰り返された「チームのために」というフレーズ。それは、UAE戦での苦い経験が影響しているようだ。この試合では、攻撃が中央に偏りすぎる傾向があり、うまくスペースを使えず、相手ゴール前で“渋滞”を引き起こしてしまっていた。
 
「みんなの“ゴールを取りたい”という想いが強くなればなるほど、結局は“俺だ、俺だ”のサッカーになって、中に中にとなってしまう。みんな責任感が強いんだと思う。でも、それが焦りにつながってしまう部分もあると思う」
 
 もちろん、岡崎自身、「点は取りたい」。ただ、一歩引いた構えを意識するようにもしているという。
 
「だから僕はあえて、チームの流れを見つつというか。そういうプレーをレスターでもやっているし。チームが問題を起こすような形にはならないようにサッカーができたらいい」
 
 状況によっては、味方のゴールを優先するように振る舞うこともいとわない。FWとして、それは納得できているのか。もっと自分のゴールに貪欲にこだわってもいいのではないか。そんな疑問をぶつけると、岡崎は即答した。
 
「そもそも自分が点を取りたいのも、チームのために、なので」
 
 すべてはチームの勝利のために――そこから逆算して、では自分はなにをすべきかを考える。ゴールが一番の目的ではない。岡崎にとっては、勝利を得るための過程に、アシストやフリーラン、ハイプレスと同列にあるだけ。あくまでもゴールは手段なのだ。
 
 とはいえ、そろそろ岡崎のゴールが見たいとも思う。左足首の怪我が気にはなるが、本田圭佑や長友佑都ら、北京五輪世代がやや元気がないだけに、彼らに刺激を与える意味でも、オーストラリア戦では、途中出場からでもピッチに立って、節目のゴールを期待したい。
 
 もちろん、それがチームの勝利につながる形で。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)