[ルヴァンカップ・準決勝第2戦]横浜1-1G大阪/10月9日/日産ス
 
 63分、相手ゴール前で井手口が奪ったボールを、米倉がヒールで相手DFの背後に流した。
 
 予想外のパスに、横浜のDFとGKは対応が遅れた。
 
 米倉からのヒールパスを受けた藤本が、DFの股を抜き中央に送る。その先にいたのは、遠藤保仁だ。遠藤は、藤本からのパスを冷静に、かつ豪快に蹴りこみ同点ゴールを奪取。 このゴールによって、G大阪がアウェーゴール方式のルール上、決勝進出の切符を掴んだ――。

 ルヴァンカップ準決勝・第2戦で、殊勲の同点ゴールを決めた遠藤だが、J1第1ステージ・12節の磐田戦以来、約5か月の間、公式戦でゴールはなく低調なパフォーマンスが続いていた。

 チームの心臓とも言える遠藤の低調さが、もろに影響したのが、リーグ戦の第2ステージ・14節の浦和戦。攻守において背番号7の存在感は薄く、ライバルの浦和にやりたい放題やられ4失点。反撃する力もなく0-4の大敗を喫した。
 
 それから4日後のルヴァンカップ・準決勝第1戦。メンバーリストに遠藤の名はなかった。その試合でG大阪は、倉田の奮闘があったものの、決定機を決めきれずスコアレスドロー。わずか1試合の不在となったが、チームは改めて、遠藤の存在の大きさを知ることとなった。
 
 そして、第2戦ですぐさま先発復帰を果たすのだが、長谷川健太監督から要求されたのは浦和戦とは違うポジションだった。
 長谷川監督が遠藤に与えたポジションは、トップ下。
 
「どういう展開になっても、ヤット(遠藤)をトップ下でスタートさせれば、非常にうまくゲームをコントロールする力もあるので、追いかける展開になればボランチに下げることもできる」
 
 指揮官は、ゲームコントロールが上手い遠藤のトップ下起用の理由に、展開に合わせ、バランスをとれることを挙げるが、続けて攻撃面でも、その意図を語った。
 
「アデミウソンのスピードを生かしたいという想いがあった。遠藤とアデミウソンのコンビは、セカンドステージの初めの頃にしていた組み合わせ」
 
「初めはなかなかボールが足につかない場面もあった」(長谷川監督)遠藤だが、第2ステージ序盤にもトップ下で起用されていただけあって、後半は徐々に感覚を取り戻していく。
 
「トップ下ならトップ下の役割を。ボランチに戻る前もトップ下はやっていましたし、そのイメージで、うまくボール回しに参加しながら、できればフィニッシュにもどんどん絡んでいく。その役割はやろうかなと」
 
 うまくボール回しに参加しながら、フィニッシュに絡む――イメージを取り戻してきた遠藤と、周囲の連係が嚙み合い始めた63分、殊勲の同点ゴールが生まれた。
 
 再びトップ下という、よりゴールに近いポジションに移った遠藤は、ボランチで出場した第2ステージ・14節の浦和戦よりも、危険な存在になるかもしれない。
 
 ルヴァンカップ決勝は、その因縁の相手、浦和との対戦だ。
 
「別にやり返したいというのはないですけどね。(浦和は)素晴らしい、毎シーズン優勝争いに絡むようなチーム。普通にやるだけですし、決勝だからと言って、なにかを大きく変えるということもないでしょうし、自分たちは自分たちの持っているものをしっかり出したうえで、良い結果を出したいなと思います」
 
 その淡々とした口ぶりもまた、危険な臭いを放っている。
 
取材・文:多田哲平(サッカーダイジェストWEB編集部)