[ルヴァンカップ準決勝・第2戦]
浦和レッズ 3-1 FC東京
10月9日(日)/埼玉スタジアム2002
 
 浦和の高木俊幸が絶好調だ。ルヴァンカップ準決勝・FC東京との第2戦では左シャドーで先発。鍵を握ったサイドの攻防で、常に主導権を握り続けた。
 
 試合開始早々に、約30メートルの地点からポスト直撃の無回転ミドル弾を放って、ゴールを脅かす。そして24分、高木の“お洒落”なパスが、先制点をもたらす。
 
 右サイドから駒井→青木→高木とパス交換。中央にいた高木が一瞬ためを作って放った右アウトサイドにかけたスルーパスが、FC東京守備陣の間をきれいにすり抜け、ゴール前へ走り込む興梠の足もとへわたる。興梠の左足のシュートがゴールネットを揺らし、待望の先制点を奪うことに成功した。
 
 高木は先制したシーンを次のように振り返った。
 
「(興梠)慎三くんが良いところに動き出してくれたのを察知できて、イメージどおりに蹴れました。外の(フリーでいた関根へ)選択肢もあったけど、慎三くんがゴールに直接向かう動きをしていたので、より点が決まる可能性が高いと思いました」
 
 一瞬で状況が変わるなかで、いくつかの選択肢から“ベスト”を選んだ。
 
 その後も高木&関根貴大で形成する左サイドが敵陣に襲い掛かり、再三にわたって切り崩していった。攻撃に推進力を与えていたのは、間違いなく浦和の背番号13だった。
 
 ルヴァンカップでの通算4ゴールは得点ランクトップ。リーグ戦でも最近の広島、G大阪戦で連発するなど、チャンスに絡む数が増えている。「得点に絡めるスペース。そこに自然と入っていける力が付いてきたのかもしれない」と、高木も手応えを掴む。
 
 一方で、「もっと、もっと、決定的な仕事をしたい」と満足はしていない。収穫よりも課題のほうが、彼のなかで占める割合は大きい。
 
「欲しかった先制点の起点になれたのは良かった。前半のようなプレーを継続しなければならない。
 
 ただ後半に入り、ゴールを決めたいという執着が強くなったために、プレーにブレが生じてしまったのは反省点。ボールにたくさん絡めて感触も良く、最後まで点を狙いに行く貪欲さを持つことも大切だとは思うけれども、最後の時間帯は悪かった」
 
 第1ステージはわずか2試合の出場にとどまったが、第2ステージに入り、レギュラーで起用される。KLM(興梠、李、武藤)が揃ってリーグ戦ふた桁ゴールを決めるなか、ゴールへのこだわりが強い高木も、遅ればせながら少しでも近づきたい気持ちはある。淡々と語る言葉の端々から、俺が決めてみせる、という強い決意が滲む。

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 高木はメッシ派よりもクリスチアーノ・ロナウド派だと言う。「ひとりで試合を決めてしまう個の強さで、断然クリロナ派です。大好きで参考にしている選手。もちろんメッシもすごいんですけど」と語っていたことがある。
 
 左サイドからパワーとテクニックを兼ね備えたドリブルで打開する。強烈なFKも放つ。身体の大きさもチーム内での役割も大きく異なるが、いくつかの面では、確かに憧れていることが感じられる共通点がある。そんな話を思い出して振ると、彼は言った。
 
「動きのなかでスムーズに、自分の中で判断できている。最近は考えすぎず、感覚的にできるようになってきています。もっと結果を出して、僕もそういう存在に近づいていきたいです」
 
 アタッカーの仕事――ゴールを決めること。そのシンプルで難しい仕事をいかにこなすか。高木のこだわりは強い。
 
「チームが勝つことがまず一番大事。そのためにも得点をして貢献したい。もちろん、この日のようなアシストも大きな仕事。ゴールに絡むというFWとしての仕事をして貢献してきたいです」
 
 日本代表のハリルホジッチ監督のワールドカップ・アジア予選の予備登録メンバーに入っているひとり。10月15日のG大阪との決勝でもゴールを決めて、“初代”ルヴァンカップ得点王でありヒーローになれば、新たな境地に踏み出せるはずだ。
 
 まだまだ進化を遂げていきそうな、スケールの大きな選手だ。
 
 
取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)