彼がサマーキャンプ地のマイアミで変わらぬ愛をツイートしている間、彼女はナポリ、ユベントス、アトレティコ・マドリー、トッテナムなどとこっそり連絡を取り合い、秘密の逢瀬を重ねていた。時にはそれをわざわざ自分からリークすることすらあった。
 
 そして、2人の間には、彼のことに構っている暇すらないほど次々とやって来る難題に忙殺されている人々がいた。新しいオーナー、新しい監督、新しい選手……。彼はマウロ・イカルディ、彼女はその妻で夫の代理人まで担うワンダ・ナラ、その間にいたのはインテルだ。
 
 しかし「浮気」や「不実」の噂に充ち満ちた夏が終わりを告げた今、三者の関係は何事もなかったように円満に続いている。それどころか、2013年夏にスタートしたこの関係を2021年夏まで続けるというのだ。10月7日に発表された契約延長によって、すべての騒ぎに決着が付いた。
 
 新契約に盛り込まれた契約解除金は、驚愕の1億1000万ユーロ(約132億円)。今夏、ポール・ポグバを獲得するためにマンチェスター・Uがユベントスに払った史上最高の移籍金と同額だ。
 
 彼は背中に「2021」とプリントされたネラッズーロのシャツを手にして微笑み、彼女とインテルはそれを間近から幸せそうに見守っている。これでイカルディは当面、メルカートに気を取られることなく、インテルのためにゴールを決める仕事に専念できるはずだ。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。