シルビオ・ベルルスコーニとミラン買収の仮契約を交わしている中国資本は、今年中が見込まれる正式調印を前に、クラブの新たな経営組織を固めるべく首脳陣の人選を進めている。
 
 GD(ゼネラルディレクター)には前インテルGDのマルコ・ファッソーネ、スポーツディレクターにはやはりインテルでスカウティング責任者を務めていたマルコ・ミラベッリがそれぞれ内定済み。さらにもうひとり、クラブの歴史と伝統を代表して対外的な顔となる存在が必要とされている。
 
 そこで白羽の矢が立てられたのが、ミラン史上最高のレジェンドであるパオロ・マルディーニだ。ファッソーネはテクニカルディレクターのポストを用意して、本人と数回にわたる話し合いを持った。
 
 しかしそのオファーを検討したマルディーニはいま、これを断る方向に傾いている。強化や補強に関するクラブの戦略についても、その中で担うべき権限についても、提案された内容は彼の期待するものとは異なっているようだ。先日も次のように語っている。
 
「現時点では提示された役職に合意していない。2つの明らかな障害がある。1つは、私にどの程度の責任を求めているのか。もう1つは、私の役割の具体性。これらが明らかに欠けている。ミランはかつて世界でトップ5のクラブだった。あの頃の栄光を取り戻すには、誰もが24時間をクラブに捧げる気概が必要だ。私にはその気持ちがある。でも、その前に新しい中国人オーナーに会って話したい」
 
 ミラニスタの誰もが期待する「マルディーニ帰還」は、またも実現せずに終わるのか。今後の動向に注目が集まる。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。