ロシア・ワールドカップ出場を懸けて、日本代表は10月11日、アジア最終予選・第4節のオーストラリア戦に挑む(@ドックランズ・スタジアム/メルボルン。現地時間20時キックオフ)。
 
 日本は予選3試合を終え、2勝1敗(勝点6)の成績でグループ4位。対するオーストラリアは2勝1分(勝点7)の無敗で首位に立つ。両者の置かれている立場は異なるが、勝点差で考えれば、その差はわずか1。他国の結果次第ではあるが、今回の対戦を制すれば、日本が首位に躍り出る可能性は大いにある。
 
 ただし、大一番に向けて、ハリルジャパンには少なからず不安要素がある。まず周知のとおり、累積警告でオーストラリア戦は欠場する酒井宏樹に加え、練習中の負傷で長友佑都も途中離脱を余儀なくされるアクシデントに見舞われた。
 
 さらに、イラク戦で左足首を痛めた岡崎慎司は、9日の練習はホテルで別調整に。冒頭15分だけ公開された10日の前日練習では元気な姿を見せたが、ベストコンディションでないのは明らかだろう。
 
 戦力的に不安を抱えるなか、イラク戦でのパフォーマンスも踏まえ、オーストラリアとの決戦で、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督はいかなるチョイスをするのか。
 
 まずGKは、西川周作の一択だ。前々回のタイ戦に続き、前回のイラク戦でも、失点してもおかしくないピンチをビッグセーブで切り抜けた。ハイボールの処理は相変わらず安定感があり、好調をキープしている。
 
 最終ラインは、吉田麻也と森重真人のセンターバック・コンビは継続されるとして、懸案事項でもある両サイドバックは、右に酒井高徳、左に槙野智章が入るだろう。
 
 右サイドバックは、レギュラーを張っていた酒井宏に加え、左右をハイレベルでこなす長友もいない。一気に手薄となったこのポジションには、これまでは左サイドバックでプレーしていたが、長友同様、右でも左でも遜色なくこなせる酒井高をコンバートさせるのが最善策だろう。
 
 空いた左サイドバックには、クロスを武器とする太田宏介が控えるが、オーストラリアの高さ対策としては槙野が適任か。槙野は6月に行なわれたキリンカップのボスニア・ヘルツェゴビナ戦で、途中出場ながら左SBで起用されている。問題はないだろう。
 2ボランチは、長谷部誠を軸に、タッグを組むのは、柏木陽介ではなく、山口蛍と予想。柏木の展開力は捨てがたいが、オーストラリア戦は守勢に回る時間が増えそうなだけに、より守備力のあるタイプが必要だろう。山口は前回のイラク戦で劇的な決勝点を挙げているだけに、本人も良い流れで試合に臨めるはずだ。
 
 トップ下は清武が本命か。イラク戦での高いパフォーマンスを考慮すれば、外す理由が見当たらない。香川真司もコンディションを上げてきているのは間違いないが、再び、攻撃のタクトを振るうのは背番号13だろう。
 
 最終ラインと同じく、テコ入れされそうなのが前線の3枚だ。
 
 左ウイングは、原口元気がファーストチョイスになる。2試合連続ゴール中と現アタッカー陣の中で最も結果を出しているだけに、スタメンは固い。
 
 最注目はCFだ。先述したとおり、万全の状態とは言えない岡崎を先発させるのは、あまりにもリスキーだ。では、代役は誰になるのか。序列で見れば浅野拓磨が繰り上がるが、フィジカルに優れるオーストラリア相手には、“中央”で勝負するにはやや線が細すぎるか。
 
 屈強な相手DFにも球際で簡単には負けず、確実にキープして前線の起点となれるのは、本田圭佑しかいない。ここ最近の代表戦では空中戦で高い勝率を誇り、ゴールチャンスを演出する場面が増えてきている。
 
 過去を振り返れば、このポジションでも結果を残してきた実績がある。オーストラリアにとっても、名実ともに日本の“顔”でもある男に、ゴールに最も近い場所でプレーされるのは、いつも以上に神経をすり減らすだろう。
 
 中央に陣取る本田に相手の意識が集中すれば、両サイドが空いてくる。その隙を見逃さず素早く縦に仕掛けるのが、左はドリブル突破に優れる原口、そして右はスピード自慢の浅野だ。
 
 代表ではもはや“お客さん”ではなくなった21歳の浅野は、この大舞台でも十分に本領を発揮してくれそうな雰囲気を漂わせている。
 
 それでも、指揮官が少しでも躊躇するなら、清武という選択肢も浮上してくるだろう。となれば、トップ下には香川が“復帰”することになるか。あ・うんの連係を見せるふたりのコンビプレーが輝けば、攻撃にはさらに流動性が生まれるだろう。
 
 本田を頂点に、香川のトップ下&清武の右ウイングは、“プランB”としては興味深い編成である。
 繰り返しになるが、敵地でのオーストラリア戦は今予選を大きく占う一戦となる。厳しい戦いを覚悟しなければならないが、勝点3を掴めれば、選手たちが本来持っているはずの自信も回復し、最近はどこかナイーブになっている指揮官も余裕を取り戻すだろう。
 
 高さ対策は当然として、ここ最近のオーストラリアは「サッカー自体が多少、変わってきていて、ロングボールを多用する形から、ボールをつなぐ形が増えたのかなと思う」と吉田はその印象を語る。
 
 パワー勝負で決して怯まず、それと同時に、地上戦でも集中を切らさずに対応する。まずは守備でリズムを整えたうえで、徐々に盛り返していくのがゲームプランとなりそうだ。
 
 とにかく、焦らずに、粘り強くプレーすることが肝心だ。先にリードを奪われても、逆に先制できたとしても、落ち着いてゲームを進めながら、チーム一丸となって大きな成果を手にしたい。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)