[ロシアワールドカップ・アジア最終予選]オーストラリア 1-1 日本/10月11日/ドッグランズスタジアム
 
 グループ内最大のライバルとの一戦で、本田圭佑は従来の右ウイングではなく、CFで起用される。2012年10月16日のポーランド戦以来となる1トップでの先発だった。
 
“CF・本田”の効果は、試合開始早々にあらわれる。6分、センターライン付近でパスカットをした左ウイングの原口元気から、中央にいたボランチの長谷部誠にボールがつながる。そこから鋭い縦パスが前方で待つ本田のもとへ。そして本田が、長谷部からのパスをダイレクトで前方へ流すと、走り込んだ原口が、GKとの1対1を制して先制点を奪った。
 
 先制後、試合の主導権はオーストラリアに徐々に傾いたが、日本も素早くテンポの良いパスワークで、度々チャンスを作る。その中心には背番号4がいた。
 
 右ウイング時は、スピード不足を露呈し、面と向かって対峙するSBを剥がせずに、攻撃を停滞させることが多かった。しかしCFに入ったオーストラリア戦では、DFを背後に背負いながら足もとで受けると、持ち前のボディバランスを生かしてボールをキープ。それから味方の攻め上がりに合わせ、スムーズにパスを散らした。
 
 とりわけ、両ウイングとの連係は効果的だった。度々見られたのは、右サイドの小林悠(本田がパスを受けた回数1位)からパスを受け、左サイドを駆け上がる原口(本田がパスを出した回数1位)に展開する、というシーンだ。右サイドにDFが引き付けられ、左サイドにスペースができたことで、スピードのある原口が生きた。本田は、その中継役として機能していた。
 
 さらに28分、原口にボールを預けた本田は中央へ。エリア内でリターンを受けると強烈な左足のシュートを放つ。惜しくもGK正面に飛び、止められてしまったが、原口との”新ホットライン”は可能性を示したと言える。
 
 ただ一方で、小さくない課題も露呈した。
 原口との好連係からフィニッシュまで運んだ形は評価できるが、本田の放ったシュートは試合を通じて、28分の場面の1本のみ。
 
 その原因は、香川との連係不足にあるだろう。ふたりのコンビネーションで中央を突破した場面はほとんどなく、無難なパス交換に終始。ゴール前でボールを受ける機会を得られず、「ゴールを奪う」という点について言えば、脅威になり切れていなかった。
 
 また試合勘の欠如も顕著に表れた。所属するミランでは、リーグ戦2試合(19分)・0得点(第7節終了時)と満足のいく出場機会を得られておらず、後半の体力が落ちていく時間帯を久しく経験していない。
 
 そのため、躍動していた前半とはうって変わって、後半は明らかに“ガス欠”状態。相手のビルドアップを追いかけるのに精一杯で、交代する84分までに、ボールに絡んだのはわずか7回と、徐々に存在感を失っていった。
 
 さらには、オーストラリアに押し込まれる展開になり、日本の攻め手が苦し紛れのロングボールでのカウンターばかりになったことも、本田がトーンダウンした要因だ。いくらボディバランスに優れる本田といえども、ハイボールの競り合いでは、身長の高いオーストラリア守備陣に分があり、前線でボールが収められなかった。
 
 岡崎の負傷もあり、オーストラリア戦では応急措置的な起用だったかもしれないが、“CF・本田”の新たな可能性を示したと同時に、香川との連係不足や、コンディションの悪さを改めて浮き彫りにした。
 
【本田のオーストラリア戦のプレー内訳】
※84分途中交代
 
■プレー回数
前半 19回
後半 7回
 
■パス数
前半 18回(スルーパス1回)
後半 7回(スルーパス0回)
 
■パス成功数
前半 14回
後半 7回
 
■ボールロスト
前半 9回
後半 2回
 
■パスを出した回数(選手)ランキング※カッコ内(前半/後半)
1位 原口元気 6回(4回/2回)
   山口 蛍 6回(3回/3回)
3位 香川真司 3回(2回/1回)
4位 小林 悠 2回(2回/0回)
酒井高徳 2回(1回/1回)
6位 吉田麻也 1回(1回/0回)
長谷部誠 1回(1回/0回)
 
■パスを受けた回数(選手)ランキング※カッコ内(前半/後半)
1位 小林 悠 7回(4回/3回)
2位 山口 蛍 6回(5回/1回)
3位 長谷部誠 5回(3回/2回)
4位 槙野智章 3回(3回/0回)
5位 森重真人 2回(1回/1回)
酒井高徳 2回(2回/0回)
香川真司 2回(1回/1回)
原口元気 2回(2回/0回)