オーストラリア対日本の結果は、韓国でも報じられている。「日本サッカー、メルボルンの呪いにまた泣いた」(『スポーツ朝鮮』)、「危機の日本サッカー、3試合連続無敗でも組3位」(『ノーカットニュース』) 、「日本サッカー、豪州に1対1のドロー、カモメだけが一生懸命に飛んでいた」(『釜山日報』)などだが、多くのメディアが注目したのが日本の戦いぶりだった。
 
「プライド捨てた日本、結実は勝点1」(『スポーツ韓国』)、「“全員守備”の日本、オーストラリアと1−1のドロー」(『SPOTV NEWS』) 、「守備サッカー、崖っぷちの日本サッカーが掴んだ藁」(『スポーツ韓国』)と、守備重視のスタイルに驚きを隠せないようだった。
 
『金剛日報』などは「日本サッカー、なぜ“トンネブッ”に成り下がったか」と報道。トンネブッを直訳すると「村の太鼓」となる。多くの人から非難されたり虐められているような人を指す言葉で、日本風に言えば“村八分”となるだろう。
 
 同メディアは試合展開を簡単に説明しただけでその理由については深く突っ込んではいないが、「守備重視のサッカーで攻撃チャンスを生かせず豪州に同点ゴールを許した」としている。
 
そんな中で「守備と逆襲の日本、ぬか喜びに終わった豪州遠征」と報じたのは『スポータルコリア』だ。
 
 同メディアは、「本田、香川、原口などを前線に配置した日本だが、攻撃はなかなか走らなかった。センターラインよりも下の位置から(相手に)圧迫を仕掛ける場合が多く、ボールを保持して試合を主導するよりも守備にかなりの時間を割いた」と指摘。
 
「それは記録にも表れていた。ボール占有率は30パーセント。多くのパスを受け渡しする以前の姿とは大きく異なる姿だった。実際、パスの回数も確実に減っていた」とし、「敵地で貴重な勝点1点を確保したが、掴んだはずのリードを逃したという点であまり快く思えない一戦だった」と結論づけている。
 
 その感想をもう少し具体的に知りたくて、『スポータルコリア』のキム・ソンジン編集長に聞いたが、こんな言葉が返ってきた。
「これまでとは違うスタイルだったが、ときたま見る相手の裏を狙ったパスやスペースを突く動きなどは目を見張るものがあったし、手数こそ減ったもののパスの展開も悪くなかった。ゴールを決めた原口元気の動きも印象的だった。相手ディフェンス陣の動きを読み、グイグイと前に出ていたと思う。

 ただ、守備的なサッカーをしたからといって、守備が良かったわけじゃない。そこに昨日の試合のもどかしさがあったのではないか」
 
 キム・ソンジン編集長は試合前、日本が敵地でのオーストラリア戦を無失点に乗り切れるかどうかに注目していたという。
 
「実力か拮抗するワールドカップ最終予選では失点は少ないほうがいい。それが後々になって得失点差などでダメージになることもある。特に日本にとってオーストラリアは上位を争う相手。敵地でも無失点で乗り切れるかに注目していたが、日本は右サイドの守備で弱点を露呈した。そこが同点PKを与えてしまう原因にもなったのではないか。

 失点さえなければ、守備的サッカーでも日本は結果オーライだったと思う。韓国も最終予選に入って守備の不安が露呈し、苦戦を強いられている。守備が安定しなければ、攻撃も成り立たない。日本も韓国も、守備の修正と安定が急務ではないか」
 
 韓国は敵地でイランに0−1で敗れてB組3位に転落している。ウリ・シュティーリケ監督への風当たりも強くなり、記者会見で「我々にはカタールのセバスチャン・ソリアのような良いストライカーがいない」と苦言を漏らしたことにメディアやファンも猛反発。エースのソン・フンミンも、「ほかの選手を言及してまで(我々の)士気を落とすのは残念なこと」と落胆を隠せないほどだった。
 
 日本でもハリルホジッチ監督への是非が叫ばれているが、韓国でもシュティーリケ監督への信頼が揺らぎ始めている。ともにワールドカップ自動出場の2位以内でなく、大陸間プレーオフ圏内の3位にある日本と韓国。上位浮上はいつになるのか……。

文:慎 武宏(スポーツライター)
 
シン・ムグァン/1971年、東京都生まれ。韓国サッカー取材歴20年。近著に歴代コリアンJリーガーへのインタビュー集『イルボン(日本)はライバルか 韓国人Jリーガー28人の本音』(ピッチコミュニケーションズ)。