10月17日から19日にかけ、J-Green堺で日本代表候補のGKトレーニングキャンプが行なわれることになった。選ばれたのは全部で6人。西川周作、東口順昭、林彰洋の常連組に、櫛引政敏、中村航輔のリオ五輪組に加え、驚きの選出となったのがJ2松本のシュミット・ダニエルだ。
 
 身長196センチで、手足の長い24歳。その大柄な体躯をフルに生かし、ハイボール処理で抜群の安定感を誇る。守備範囲が広く、攻撃時にはペナルティエリアを大きく出て最終ラインを押し上げるうえ、確かな足もとの技術でビルドアップにも参加する。
 
 本人にしてみれば、J2から唯一の選出にも驚きはなく、「ここで選ばれなかったら、今後代表に進むことは考えられないと思っていた。選ばれてホッとしている」と、むしろ安堵の表情を浮かべる。
 
 仙台から期限付きで加入した今季の松本では、開幕戦から不動の正GKとして、リーグ戦全試合でゴールマウスを守っている(10月14日時点)。自身は今季の成長点について「特にないです」と笑うものの、J1自動昇格へ熾烈なマッチレースを繰り広げるチームに身を置きながら、安定感を増している印象だ。
 
 獲得に際してラブコールを送った反町康治監督も、「潜在能力はある。(今季の松本では)つまらない失点がなくなった」とそのポテンシャルを高く評価している。
 
 ただし、恵まれたサイズは諸刃の剣でもある。最大の課題は、足もとや股下のシュートストップ。23節・北九州戦や32節・群馬戦などでは、その苦手なコースを通されて失点。反町監督は世界屈指のGKを引き合いに出し、「ああいうボールもノイアー(バイエルン)なら足が出る。それができれば鬼に金棒だ」と奮起を促す。
 
 実際に普段のGK練習でも、そのコースのシュートストップを重点的に行なっているという。試合中は「もっと(前の選手を)走らせないといけない」と盛んにコーチングの声を張り上げ、失点してしまえば全身で悔しさを表現する。
 
 だが、いったんピッチを離れればマイペースで物静か。取材に応じる声は決して大きくはなく、にぎやかな試合後のミックスゾーンでは耳に全神経を集中させなければ、言葉を正確に拾うのは難しい。
 
 また、自身の性格を「オタク気質」だと分析しており、中央大時代までは在京キー局の女子アナウンサー事情に精通。川崎の特別指定選手だった際に撮ってもらった2ショットは、今も大切にとってある。
 
 そんな意外な一面も併せ持つが、静かな口調で語る野望は果てしなく大きい。
 
「自分が一番良い時期に本場の環境に身を置いていたい」と欧州でのプレーを熱望。学生時代はファン・デル・サール(元マンチェスター・ユナイテッド)に憧れ、現在はティボ・クルトゥワ(チェルシー)に熱視線を注ぐ。
 
 昨季から「26歳までのフル代表入り」を公言しており、今回はその第一歩となる。「代表に入って試合に出て活躍して、ワールドカップで活躍するのが目標」だ。
 
 西川ら歴戦の先輩プレーヤーに対しても「学べる部分は学びたいが、割って食い込んでいく強いメンタリティを前面に出したい」と力を込める。
 
 注目必至のニューカマーの飛躍を楽しみに待ちたい。
 
取材・文:大枝 令(フリーライター)
 
■プロフィール■
シュミット・ダニエル(GK)
Daniel SCHMIDT
 
生年月日:1992年2月3日(24歳)
身長・体重:196センチ・90キロ
出身地:アメリカ
経歴:八幡SSS/仙台スポーツシューレFC―東北学院中―東北学院高―中央大
 
■キャリア表■
10年     川崎(特別)/0試合・0得点
11年     川崎(特別)/0試合・0得点
12年     川崎(特別)/0試合・0得点
14年     仙台/0試合・0得点
            熊本/4試合・0得点
            仙台/0試合・0得点
15年     仙台/0試合・0得点
            熊本/26試合・0得点
16年     松本/35試合・0得点
※データは10月14日時点。特別=特別指定選手。

【オーストラリア 1-1 日本|PHOTOギャラリー】原口の3戦連発弾で先制するもPKで悔しい引き分け…