「自分の特長は周りも分かっている。明日も必ずゴールを獲りたいと思います」
 
 10月14日のイエメン戦を前に、U-19日本代表のエースFW小川航基はこう力強く宣言した。
 
 今回のU-19アジア選手権で、日本は過去4大会逃してきたU-20ワールドカップの出場権を是が非でも掴みに行く。“是が非でも”というのは、07年大会以来、約10年に渡ってこの年代が世界を経験できていないことだけを指しているのではない。
 
 それに加えて、今回の出場選手たちの多くが、4年後の東京五輪で主力になり得る存在だからこそ、世界大会への切符は易々と手放せないのである。現U-19代表で不動のエースであり、4年後も有力なエース候補であろう小川は、その重要性を最も認知しているひとりと言えるのかもしれない。
 
 7月のリオ五輪で、小川はトレーニングパートナーとしてU-23代表チームに帯同した。その際、手倉森誠監督からかけられた言葉は、今でも忘れられないという。
 
「一番印象に残っているのは、今はオリンピックで活躍してA代表へっていう流れになっているけど、U-20ワールドカップに出て、最終的にA代表に入れるように、そこを目指せと」
 
 リオ五輪でグループリーグ敗退に追いやられた日本の選手たちは、U-20年代で世界を経験できなかった。親善試合では経験できない世界との真剣勝負を肌で感じられなかったことがリオ五輪での成績につながったと、手倉森監督はあらためてそう感じたのだろう。だからこそ、東京五輪世代の旗頭である小川にこの言葉の投げかけたのだ。
 
 ここで世界を経験できなければ、東京五輪世代はもちろん、個人的にもその後のキャリアに及ぼす影響は計り知れない。「世界を経験するのとしないのとでは相当違うので、良い試合をして必ず出場権を掴みたい」という言葉には、誰にも増して説得力が感じられた。
 
 運命のグループリーグ初戦、冒頭の言葉どおり、エースはひと仕事してくれるに違いない。
 
 
取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)