「勝てるかといわれたら分からないですけど、チームとして良いゲームができていたので、何とか勝ちたかったですけどね」
 
 残り10分で同点ゴールを許し、ドルトムントとの上位対決を1-1で終えた原口は、この試合をそう振り返った。
 
 日本代表として2試合ともにフル出場し、33000キロという長距離移動を経てドイツに帰ってきた原口だが、この試合でもフル出場を果たした。
 
 過密日程でコンディションも心配された原口だが、ダルダイ監督からの厚い信頼が示されたかたちだ。原口もその期待に最低限、応えたと言えるだろう。
 
 この試合で記録した走行距離は、チーム3位の11.15キロ、スプリント数は両チーム通じて最高の35本と、運動量では疲れを感じさせないどころか、両チーム最高レベルの動きを見せた。
 
「キツかったのはキツかったですけど、いつもキツいので、特別今日がめちゃくちゃキツいとかはなかったです。良いリカバリーもできていたので。まぁ、よく90分動けたなとは思いますけど」というのは、過酷な日程での戦いを強いられた原口の率直な本音だろう。
 
 ヘルタはいつも通り、守備から試合に入った。ドルトムントにボールを持たせながらもチャンスはほとんど作らせず、前半はドルトムントに2本のシュートしか許さなかった。
 
 一方、攻撃では原口のプレーからチャンスを作った。17分には原口のグラウンダーのクロスからエスバインがシュートを放ち、29分には原口の浮き球スルーパスに抜け出したシュトッカーがシュート。32分にも原口のパスからエスバインがシュートを放った。
 
 パスの出し手として攻撃を活性化させた原口だが、本来は自らが裏に抜け出す役割に回りたかったところ。しかし、動き出しに対してチームメイトからボールが出てくるシーンはほとんどなく、まともなシュートも後半にカットインから放った1本に止まった。
 
 51分にはシュトッカーのゴールで先制したヘルタだが、ドルトムントが圧力を強め、ピンチを迎える。75分にはクロスボールのこぼれ球から香川がシュートを放つと、これが原口の左手に当たりドルトムントにPK。故意ではないが、身体から離れた左手がシュートを阻んでしまったため、仕方のない判定だった。
 
「PKを取られてしまい、またかよ、と思いましたけど。でも、どうしようもないんでね。代表戦(オーストラリア戦)は僕のミスだったけど、今回のは当たってしまったという感じなので」
 
 しかし、このPKをGKヤルステインがセーブ。「2試合連続なので、あれを決められたら結構キツかったですけどね。なので、助かったというか……」と、ほっと胸を撫で下ろした。
 
 GKの好セーブでなんとかドルトムントの攻撃を凌いだヘルタだが、80分にデンベレのクロスからオバメヤンが同点ゴール。原口もこの2人のクオリティーには「なかなか防ぎきれるものではない」と言うしかなかった。

文:山口 裕平