レッズとガンバという東西の両雄が激突したルヴァンカップ決勝は、PK戦の末にレッズが優勝したね。
 
 現在のJリーグにおける両チームの位置付けが結果に反映された感じだけど、途中出場した李が76分に同点ゴールを決めたように、レッズのほうがやや選手層が厚かった印象だ。ガンバはパトリックの負傷欠場が響いただろうし、キャスティングとしてはイーブンではなかったと思う。
 
 戦力的に少しだけ劣るガンバは、守ってカウンターに活路を見出そうとした。そのゲームプランは途中までうまくいっていたよね。17分には、アデミウソンが独走して幸先良く先制点を奪うことに成功した。それでも、なかなか厚みのある攻撃を繰り出せなかった。
 
 一方のレッズは、懸命に守備を固めるガンバに対して攻めあぐんでいたけど、セットプレーのチャンスを生かして試合を振り出しに戻すことができた。会場も埼スタということもあって、ホームらしい戦いができたうえ、体力的にもガンバより余裕があったね。
 
 スコアは1-1のまま90分を終えて、延長戦でも決着がつかず、PK戦はガンバがひとり外しただけの5-4と、本当に紙一重の勝負だった。がっぷり四つの接戦だったのは間違いないけど、見せ場が少なくて、盛り上がりに欠けた試合でもあった。
 
 東と西の強豪同士の対戦だったけど、厳しい言い方をすれば、そこまでハイレベルな勝負ではなかった。結局、互いに決め手を欠いてPK戦に突入してしまった印象も拭えないし、今の日本サッカーが抱えている問題が透けて見えるようなファイナルでもあった。

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 この試合には、日本代表のハリルホジッチ監督が視察に訪れていた。ただ、彼の興味を引くような選手がいたのかは疑問だよ。
 
 強いて挙げるなら、ガンバのボランチ井手口が目立っていたぐらいかな。でも、彼はどちらかと言えば守備力に特長があるタイプだ。ハリルホジッチ監督が探している選手ではなかったように思うんだ。
 
 今の日本代表は、先日のオーストラリア戦を見ても分かるように、PKで1失点したとはいえ、守ろうと思えばそれなりに守れるんだ。問題は、攻撃の切り札になれる選手がなかなか出てこないこと。
 
 その意味では、李が多少なりともアピールできたかもしれないけど、セットプレーからの1点だけだったし、そこまでのインパクトを放っていたとは思えない。
 
 レッズの興梠にしても、ガンバの長沢にしても、ハリルホジッチを唸らせるようなパフォーマンスを示せなかった。一番のハイライトと言えば、約60メートルをドリブルで突き進んでゴールを決めた“ブラジル人”のアデミウソンの活躍だ。
 
 日本を背負って立つようなFWがいない決勝戦でもあった。ハリルホジッチ監督が次の11月シリーズに向けて新たなアタッカーを探していたとすれば、“これだ”という選手はいなかったと思うよ。
 
 クラブレベルでこういう状況なのだから、代表の攻撃面で明るい展望が描けないのは当たり前だ。それは、世代交代でも同じことが言えるよね。
 
 ひとつの目安として、PK戦の人選に世代交代の遅れを感じた。
 
 両チームが5人ずつ蹴って、サドンデスまで行かずに勝負がついたけど、それぞれのキッカーの内訳を見てみると、20代はレッズの遠藤、ガンバの呉屋とひとりずつだけ。あとはみんな30代の選手だ。
 
 もちろん、PKの得手不得手はあるとは思うけど、重要な任務を託せるのが30代の選手ばかりという事実には、残念な気がしてならない。若手の突き上げが乏しいんだなと改めて痛感したし、両チームとも、今はいいかもしれないけど、数年先は編成で苦労するんじゃないかな。
 
 カップ戦のファイナルを戦うクラブで目ぼしい若手がいないんだから、代表に世代交代を求めても、それは無理な話だ。進まなくて当然だよ。
 
 攻撃の駒不足と世代交代の遅れ。PK戦にまでもつれたゲームを眺めながら、ハリルジャパンが解決しなければならない問題についても考えさせられたね。
 
 それと同時に、装いも新たになった歴史あるこのカップ戦についても、いろいろと思うところはあった。
 
 お客さんもたくさん入って、決勝の雰囲気は良かったよね。ただ、準決勝まではどうだったか。スタンドが半分も埋まればいいほうだったと思う。スターティングメンバーを見ても、ベストの11人を送り出していない試合が少なからずあった。
 
 優勝したクラブは、タイトルの数をひとつ増やしたとはいえ、そこにどれだけの値打ちがあるのか。命がけで獲得したタイトルとは言えないし、ギネスブックに認定されるぐらい、長きに渡って支援してくれているスポンサーにも失礼なんじゃないかな。
 
 いずれにしても、いくらこのルヴァンカップを制したからといって、レッズも錯覚してはいけないよ。決勝は“ホームアドバンテージ”もあったわけだしね。
 
 本番はこれから。まだリーグ戦が残っている。本当に価値があるのは、1年を通じた戦いを経て、最終的にどの順位にいるかだ。評価はそこで下すべきだ。
 
 各ステージや年間の順位を見ても、今季はレッズとフロンターレの争いになると思うし、そうなるのがベストだと思う。
 
 真価を問われている両チームはどんな結末を迎えるのか。あるいは、セカンドは調子を落としているけど、ファーストを制しているアントラーズが優勝をかっさらうのか。いよいよ大詰めを迎えるJリーグにも注目だ。