非常に厳しい状況に置かれているのが湘南だ。
 
 残り3試合を全勝しても、勝点30にしか到達できない。次節の大宮戦で引き分けか負けると、ライバルの結果に関係なく降格が決定する。たとえ勝ったとしても、新潟、名古屋、甲府のうち2チームが勝点31に達した時点で、ジ・エンドとなる。

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 過去5年の残留ラインを見ても、 勝点30でJ1に残れたチームは皆無である。文字通り崖っぷちに立たされているが、“奇跡”が起こらないとも限らない。湘南は甲府と名古屋との直接対決を残しており、とにかくまずは大宮に勝つことができれば、光が見えてくるはずだ。
 
 追い込まれた湘南を除けば、13位から16位までが勝点4差に4チームがひしめく団子状態となっている。
 
 第2ステージ以降の流れを振り返ると、大きく調子を崩しているのが磐田だ。一時は年間10位と安全圏にいたが、坂道を転げ落ちるかのようにペースダウン。第2ステージでの白星は10節・福岡戦のみだ。
 
 天皇杯3回戦で大宮に0-5と大敗するなど、負のスパイラルに陥った。直近2試合は湘南と引き分け、新潟に敗れて勝点差を広げられず、残留争いに完全に引きずり込まれた。
 
 新潟戦後、名波浩監督のコメントも湿りがちだった。「このゲームに対する思いが相当強 かった。(勝点)1も取れなかったショックは非常に大きい」。
 
 下降線を辿っているとはいえ、それでも磐田はまだ13位と優位な立場にいるのも事実。その磐田と同様、 後半戦で一度も降格圏に落ちていないのが新潟だ。
 
 14位と15位を行き来しているが、先述したとおり、前節は終了間際の山崎亮平のゴールで2-1と磐田を退けて、14位に浮上してみせる。小林裕紀は古巣相手に価値ある勝点3を奪い取り、「最低限のノルマを達成できてホッとしている」と胸を撫でおろした。
 
 ただ、ここまでは水際で持ち堪えている新潟も、残り3節は浦和、G大阪、広島とJ1優勝経験のあるクラブと対戦が控えている。厳しい戦いが予想されるが、持ち前の粘り強さで勝点を積み上げられるか。
 
 新潟と同じタイミングで順位をひとつ上げ、3か月ぶりに降格圏内を抜け出したのが名古屋だ。鹿島、横浜とともに、これまで一度もJ2に落ちたことがないオリジナル10(Jリーグ発足時に加盟していた10クラブ)の意地なのか、一気に巻き返してきた。
 
 ターニングポイントは、8月23日の政権交代と、その後の闘莉王復帰。小倉隆史GM兼監督の休養を発表し、アシスタントコーチのボスコ・ジュロヴスキーを指揮官に昇格させると、すぐさま“闘将”をブラジルから呼び寄せた。
 
 この決断が功を奏し、闘莉王がカムバックを果たした新潟戦で19試合ぶりの勝利(カップ戦は除く)を飾った名古屋は、以降の3節を2勝1敗で乗り切り、年間勝点で15位に浮上したのだ。
 
 名古屋と入れ替わるように降格圏内に沈んだのが甲府だ。夏場には新潟と広島に連勝するなど、なんとか持ち堪えていたが、9月に入ると1分3敗と大失速。勝点を思うように 伸ばせなかった。
 
 もっとも、甲府はこれまで何度も残留争いを経験してきているだけに、ある意味、こうした“サバイバル”を得意としているチームとも言える。 最終盤戦をどう戦えばいいのか熟知しているはずで、真骨頂を発揮するのはここからかもしれない。
 
 すでに福岡のJ2降格が決まっており、残る枠はあとふたつ。そのうちの1枠を湘南が埋めて、団子状態である他の4チームのうち、最後の1枠にどこが収まるかという構図になる可能性が高い。
 
 もちろん、湘南が驚異の追い上げを見せて、さらに混戦模様となることもあり得る。現 時点でどのチームも、過去の5年の平均残留ライン(勝点37)をクリアしていないだけに、なにが起こるか分からない。
 
 次の15節には、「名古屋×磐田」という注目カードが組まれている。ここで名古屋が勝つと、他会場の結果次第で残留争いがより混沌となる可能性もあるだけに、見逃せない一戦だ。
 
 磐田にとってはある意味、悪い流れを断ち切るチャンスだろう。上昇気流に乗りかけている名古屋を叩ければ、勝点3を得るだけでなく、彼らの勢いを弱めることができる。
 
 また同節には、冒頭で記したように湘南の運命も懸かっている。ここで湘南の降格が決まれば、その後、その湘南との対戦がある名古屋、甲府は少なからず有利かもしれない。
 
 いずれにせよ、スリリングな争いは最終節までもつれ込むだろう。
 
文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)