2018 FIFAワールドカップロシア アジア最終予選の第3戦が6日に行われ、日本代表は埼玉スタジアム2002でイラク代表と対戦。26分に原口元気ヘルタ・ベルリン)のゴールで先手を奪った日本だったが、60分にセットプレーからゴールを許す苦しい展開となる。しかし、同点のまま迎えた後半アディショナルタイム5分、途中出場の山口蛍(セレッソ大阪)が劇的なバースデーゴールを突き刺し、日本が貴重な勝ち点3を手にした。


 ホームでの初戦を落とし、次戦は敵地でのオーストラリア戦。すでに2敗しているイラクには勝たなければいけないという思いが強すぎたのか、日本は序盤から思うような攻撃を展開できない。その苦況を打破したのは、帰国後に「コンディションはベスト」と語っていた原口だった。


 先制点は「良さが出た。あのボールの取り方は得意なので」と語った原口のプレスバックによるボール奪取から生まれた。その後、「キヨくん(清武弘嗣セビージャ)とケイスケくん(本田圭佑/ミラン)が良いコンビネーションで(右サイドを)崩してくれた」という素早い攻撃からニアに走り込んで右足のヒールで巧みに流し込んだ。自身が「いいところに入れたし、少しラッキーな部分もありましたけど」と振り返った一発で日本に流れを引き寄せる。


 試合後のミックスゾーンで「あれだけ速い攻撃ができれば、どういう相手でもチャンスは作れる」とコメントしたように、流れるようなカウンターから得点を奪ったことに手ごたえを感じた一方、「逆に言えば、その後、ああいった良い攻撃がなかなか形にならなかったのは課題」と、追加点を奪えなかったことに危機感を募らせた。


 その結果、イラクの反撃を許してしまうことになる。「すごく気持ちが見えたし、フィジカル的にも準備されているチームだと感じた」という相手から追加点を奪えず、セットプレーから失点。後半は各選手のコンディションにバラツキが見られる中、ヘルタ・ベルリンでレギュラーの座をつかみ、充実のシーズンを送っている原口がチームを鼓舞し続ける。


 特に後半は同サイドの酒井高徳(ハンブルガーSV)や森重真人(FC東京)と話し合い、左サイドのタッチライン際に張ってプレーすることを選択。「後半に追いつかれてからナイーブになっているというか、焦っている部分があって、そういったときに左に張ってそこから剥がしていくことで違いを出していきたいと思った」という言葉どおり、左サイドからのカットインやタテへの仕掛けでマークをかわしてチャンスを創出。球際の強さやゴールへの意欲をピッチで表現し続けた。


 彼自身にとってはタイ戦に続く2戦連発のゴール。スタメン起用された2試合でいずれも得点をマークしてヴァイッド・ハリルホジッチ監督の期待に応えている原口だが、「今日は点を取ったけど、それ以外の内容はそんなに良くないと思うし、継続力が足りない。得点以外の部分でも見せていかないとポジションを取るのは難しい」と語るなど、自身のパフォーマンスには決して納得していない。


 次戦は同グループ最大のライバルと目されているオーストラリアとのアウェイゲーム。その大一番に向けて、気持ちを引き締める。


「(オーストラリアは)もっと強い相手なので、今日のようなプレーではやられてしまうと感じているし、そのためにもっと良い準備をして、一人ひとりがもっと良いプレーをしないと勝てない。やっぱり気持ちが一番大事。気持ちで上回ることですべてが好循環になるとブンデスリーガでも感じている。今日は球際で負けている部分もあったので、そこでもっともっと勝っていかないと」


 勝利を逃せば指揮官の進退問題に発展する可能性があったイラク戦を土壇場で切り抜け、何とかホームで勝ち点3を獲得した日本代表。だが、この結果は選手たちがピッチ内で勝利への執念を見せたからに他ならない。原口自身も「最後のセットプレーに懸けていた部分もあったし、最後の笛がなるまで諦めずにプレーできた。自分自身もそう信じてプレーしていた。全員が信じてプレーしていたから本当にギリギリでしたけど、勝ち点3を取れた。ネガティブになりすぎず、次の試合でも勝ち点3を取ることが大事」と話し、敵地での次なる一戦に気持ちを切り替えていた。


文=平野由倫