レアル・マドリードのユニフォームの来シーズンからのサプライヤー(供給権利)契約を巡り、スポーツ界のトップブランドによる争奪戦が激化しているという。


 世界的なビッグクラブのユニフォームのサプライヤー契約は、近年になって契約金が急激に高騰している。実際、マーケットの主役の1社であるアディダス社社は、数十年に渡りユニフォームを提供し続けているバイエルンとは2029−30シーズンまで年間6000万ユーロ(約68億4000万円)の15年契約を新たに結び、新たにサプライヤーを務めることとなったマンチェスター・ユナイテッドとは2024−25シーズンまで年間7500万ポンド(約93億8000万円)の10年契約を締結している。


 一方、マンチェスター・Uをアディダス社に奪われる形となったナイキ社も、1998年からサプライヤーを務めているバルセロナとの契約を死守。昨シーズンまで年間4000万ユーロ(約45億6000万円)だった契約金を、今シーズンおよび来シーズンは基本6000万ユーロ(約68億4000万円)にインセンティブを加えた最大8500万ユーロ(約96億9000万円)へと大幅に見直したうえ、その後は2027−28シーズンまで年間1億5500万ユーロ(約176億7000万円)の10年契約を新たに結ぶことで合意に達している。


 このような背景が相まって、今シーズン一杯でアディダス社とのサプライヤー契約が満了となるレアル・マドリードには大きな注目が集まっている。そして、同クラブの新契約を巡っては、フットボール界で双璧を成してきたアディダス社とナイキ社に、スポーツ界で勢力を急拡大しているアンダーアーマー社が加わり、3社による熾烈な戦いが繰り広げているという。


 この中で最も優位な立場にあるのは、1998−99シーズンから17年間に渡りレアル・マドリードのユニフォームのサプライヤーを務め続けているアディダス社だと言われている。当然ながら契約延長を望んでいるアディダス社は、現在の年間4000万ユーロ(約45億6000万円)の3倍強となる年間1億2000万ユーロ〜1億3000万ユーロ(約136億8000万円〜約148億2000万円)での2026−27シーズンまでの10年契約という条件で交渉を進めていると見られている。


 これに対し、昨シーズンはマンチェスター・Uだけでなくユヴェントスとの契約もアディダス社に奪われたナイキ社も黙って指をくわえている訳はなく、レアル・マドリードに年間1億2000万ユーロ(約136億8000万円)の条件を提示しているという。だが、レアル・マドリードにとってこの金額は、宿敵バルセロナと同社が合意に達した新契約の金額を大きく下回るうえ、アディダス社からのオファーも上回っていない。また、フロレンティーノ・ペレス会長は、レアル・マドリードがブランドにおける最重要クラブであることを固持しているため、交渉が成立する可能性は低いと伝えられている。


 そんな中、伏兵的な存在となっているのが、北米市場ではアディダス社を抜いてナイキ社に次ぐ売上高を誇るブランドとなったアンダーアーマー社だという。フットボール界ではトッテナム以外は目立つスポンサー契約を結んでいないアンダーアーマー社だが、レアル・マドリードのユニフォームのサプライヤーになることができれば、欧州市場での事業拡大に向けて極めて重要な一歩となる。アンダーアーマー社は、現在は年間1億3000万ユーロ(約148億2000万円)のオファーを提示しているが、今後の動向次第ではこの金額を引き上げる準備もあり、アディダス社にとっては手強いライバルに成り得ると見られている。


 レアル・マドリードの来シーズン以降のユニフォームがどのブランドのものになるかは、現時点ではまだ決定していない。しかし、商才に長けたフロレンティーノ・ペレス会長が、3社による競争を利用して破格の大型契約を勝ち取ることは、いずれにしても間違いなさそうだ。


文=北村敦