オーストラリア代表などと対戦した1次予選から通じて5試合連続無失点。AFC U−19選手権に臨んでいるU−19日本代表の守備陣は「ゼロ失点」という成果を積み上げ続けている。ディフェンスリーダーとしてその中心にいるのは間違いなく、太陽王の若武者DF中山雄太だ。


 普段は物静かな好青年という雰囲気だが、内山篤監督は「いつも冷静に判断しながらやってくれる」と、かねてより高く評価してきた。ストッパーにありがちな闘志を前面に押し出すようなスタイルではないものの、かつてその点についてネガティブな質問が飛んだときには「内に秘めたる気持ちを持っているから問題ない」と一蹴していたのも印象的だった。指揮官の信頼はそれほど厚いし、中山もそれに応えてきた。


 中学時代は元々地元の茨城県龍ケ崎市にある愛宕中学校のサッカー部でプレーをしていたが、途中で柏レイソルU−15に引き抜かれた経歴を持つ。リーダーシップは当時から際立っていたらしく、サッカーのみならず学級委員長なども自然と任されていたというから、元より自分本位ではなく、周りのことまで背負えるキャラクターなのだろう。柏U−18でもキャプテンを任され、堂々とした立ち居振る舞いを見せていた。


 プロ2年目となる今季は定位置を確保。左サイドバックでの出場もあったが、現在はセンターバックとして出場を重ねながら着実な進歩を見せている。中盤でもプレーできる器用さと判断の良さは後方でも生きており、ビルドアップに関するプレーはすでにJリーグでもトップクラス。稀少な左利きのセンターバックということもあり、将来への期待値は大いに膨らんでいる。


 U−19日本代表でもボランチや左サイドバックで起用されたこともあるが、周囲の心理的な部分まで含めると、やはり中山がセンターバックにいるときが最もチームが安定する。ピンチに対する冷静な対応力は際立っており、イラン代表との第2戦の81分、GKまで抜かれた絶体絶命の状況から打たれたシュートを、沈着に“トラップ”したプレーなどはいかにも中山らしいものだった。


 試合前にポイントとして挙げていた「ラインコントロール」と「カウンターに対するリスク管理」についても及第点と言えるプレーだったのは間違いない。常に一発を狙って虎視眈々としているイランのアタッカー陣をうまくいなしながら、粘り強く対応し続けた。地味な作業だっただけに、イランの攻撃が弱かっただけに見えてしまったかもしれないが、決してそうではない。センターバックの相棒である冨安健洋(アビスパ福岡)の言葉を借りれば、「(第1戦の)イエメンとは比べものにならない」くらいの力を持った相手だった。


 もっとも、中山本人はこの試合について「決め切れなかった試合」と不満顔を隠さない。自身についても、セットプレーから開始5分に訪れた決定機を逸したことを猛省。「ファーが空くのは分かっていたのに、決め切れなかった」と悔やんだ。0−0のドローという終わり方はDFとしてポジティブに受け止めがちなものだろうが、中山はそういう選択を良しとしないようだ。そして気持ちは早くもカタール代表との第3戦に向いている。


「自分たちはもう勝つしかない立場になった。勝つために全員一丸となってやれることをやっていく」


 カタールとの第3戦、チームとして目指すところは明確だ。黄色と黒の誇りを胸に秘める太陽王のDFが、10年ぶりの世界切符獲得に向けて、“冷静な闘志”を熱く燃やしている。


文=川端暁彦