サッカー少年なら誰でも一度は夢見る背番号「10」。セリエAではそんな憧れの背番号を見かけることが少なくなった。ユヴェントスではアレッサンドロ・デル・ピエロ、そしてミシェル・プラティニ氏。フィオレンティーナならロベルト・バッジョ氏。ほかにもサンプドリア時代のロベルト・マンチーニ氏や、ナポリの永久欠番となったディエゴ・マラドーナ氏と往年のきらめく大スターが10番をつけた。今、その10番にふさわしいプレーヤーがセリエAに何人いるだろうか。


 40歳で現役を続けるローマの主将FWフランチェスコ・トッティは、紛れもなくそれにふさわしい選手で素晴らしい功績を残してきたが、このところは途中出場が多くなった。フィオレンティーナのFWフェデリコ・ベルナルデスキは、アッズーリの将来を担う選手に成長しつつあるが、まだ10番の風格は備わっていない。


 インテルのFWステヴァン・ヨヴェティッチは出場の機会すら与えられなくなっており、10番失格だ。ボローニャのFWマッティア・デストロも一時の上昇気流から外れてしまった。トリノのMFアダム・リャイッチは10番の華やかさが全くない。そしてミランに鳴り物入りで移籍したMF本田圭佑は、ベンチ要員となり下がってしまった。


 ユヴェントスはポール・ポグバがマンチェスター・Uに移籍後、10番は空席になっている。攻撃力と得点能力が高いFWパウロ・ディパラがふさわしいと誰もが考えるだろう。しかし彼は21番をつけ続けている。22歳の若さでプラティニ氏、バッジョ氏、デル・ピエロのつけたビアンコ・ネーロの「10」は、早すぎるのだろうか。確かに21番も、ジネディーヌ・ジダン氏(現レアル・マドリード監督)やMFアンドレア・ピルロ(ニューヨーク・シティFC)と優秀な選手の名前が歴代に連なってはいるのだが…。


 ウディネーゼで現役を引退したアントニオ・ディ・ナターレ氏も10番だった。彼が考える10番にふさわしいセリエAの現役プレーヤーは誰なのだろうか。「エンポリのリッカルド・サポナーラだね。成熟してきたし、トップへの長いパスやエリア内でのゴールに絡める。シュートも打てて、クオリティーが高い。特に、ファンタジスタとしての能力が評価できる。本物のトレクアルティスタ(トップ下)だ」と力説した。


 同年代のトッティについては「友人だよ。人間的にも良いし、選手としてはケタ外れだ。彼のユニフォームを持っているし、大切にしている」と友情とリスペクトを語った。また元ミランのクラレンス・セードルフ氏のすごさが特に印象に残っていると言い、「彼のユニフォームをもらっておけばよかった」と後悔している。


 時代は変わってしまったのか。“本物”の背番号「10」がピッチで躍動する姿を再び見てみたいものだ。


文=赤星敬子