メルカート(移籍市場)開幕により、移籍のニュースがイタリアでもメディアを賑わせている。今のところ、まだ移籍解禁から10日しか経っておらず、大きな動きは見られていない。しかし、この1カ月の選手の移動がシーズン後半の各クラブの成績を左右する可能性が高いことから、フロント幹部と選手の代理人は一気に忙しくなる。ミランの日本代表FW本田圭佑インテルの同DF長友佑都の動向も気になるところだ。だが、まずはここ数年で徐々に影響力を増してきた中国資本の話をしてみたい。


 元イタリア代表監督のマルチェロ・リッピ氏やヨーロッパ人の指導者はまた別として、ヨーロッパ・サッカー界で十分に通用する力を持つ現役選手が何人も中国のクラブに破格の移籍金や年俸で移籍してきた。選手だけでなく、クラブもそうだ。日本人選手が所属するミラノの両クラブも、オーナーが中国人実業家となった。現在、金銭面が唯一“まとも”で余裕があり、ヨーロッパのビッグクラブに引けを取らないのはユヴェントスぐらいではないか、と言われている。


 話を選手の移籍に戻そう。中国クラブが狙っているのは、フィオレンティーナに所属するクロアチア代表FWニコラ・カリニッチだ。そのクラブとは、元イタリア代表DFのファビオ・カンナヴァーロ監督が率いる天津権健。同クラブは4500万ユーロ(約56億2500万円)から5000万ユーロ(約62億5000万円)を準備して、本気でカリニッチ獲得に動いているようだ。カリニッチは昨シーズンにパウロ・ソウザ監督の下で才能を開花させたストライカー。29歳という年齢からみても、フィオレンティーナの次に所属するクラブがキャリアの集大成となるだろう。一部では中国行きはなく、プレミアリーグのクラブからのオファーを待っているとも言われている。


 また、トリノを率いるシニシャ・ミハイロビッチ監督も昨年12月に中国のクラブから就任要請があったと明かした。年明け後最初の試合、前日会見でのことだった。「私にコンタクトを取ってきたチームがあった。とても重要な話だった。ただ私にとってマネーが人生の全てではないし、(トリノでの)仕事を途中で放り出していくわけにもいかない」とキッパリ。しかし最後に「でも、深く考え込みすぎて、二晩ほど眠れなかったよ」とジョークとも本気ともつかない発言で笑いをとった。そして「(中国での年俸は)イタリアの5、6年分の額に相当するものだったから」と、超高額のオファーだったと明かした。


 また、サンプドリアで戦力外となっている元イタリア代表FWアントニオ・カッサーノが中国行きを選択するとの報道もあったばかり。以前は中東のドバイやアメリカ(メジャーリーグ・サッカー/MLS)で現役を終える選手がいた。今は中国のクラブも「最後のひと稼ぎ」をしたい関係者には魅力的なようで、選択肢に入っているということだ。


文=赤星敬子