◇パ・リーグ 日本ハム5―2ソフトバンク(2016年9月22日 ヤフオクD)

 逆境に立たされたからこそ、日本ハム・有原は原点に返った。「最近、なかなか勝てなかったので基本に戻って直球で腕を振ろうと思った」。初回は18球中9球が直球だった。3番・中村晃には初球から3球続けて直球を投げ込み、右越え先制ソロを浴びた。

 しかし、これが生きる。1点リードの4回、先頭・松田に左翼線二塁打を浴びた後、長谷川、吉村、江川を3者連続空振り三振。「今日は直球が有効的でなかったが、それでも腕を振って投げたのでフォークが使えた」と、打者に直球を意識させたことで低めのフォークで空振りを奪えた。6回7安打2失点で7月22日のオリックス戦(札幌ドーム)以来となる今季11勝目。「チームに貢献できていなかったので絶対に勝とうと思った。本当にうれしい」と喜びがあふれた。

 リーグで10勝に一番乗りしながら、それから6連敗を喫した。7月29日のソフトバンク戦(札幌ドーム)では4回まで無安打投球も、中盤以降に崩れて7回2/3を5失点でKO。6回に逆転を許し、ベンチに戻ると裏の壁を蹴り上げ、穴を開けた。自分のふがいなさに憤りが収まらなかった。壁にはいろんな選手によって穴が開けられるというが、有原の開けた穴にはすぐ隣に「ARIHARA」とテープを貼られ、ナインから笑いに変えられた。壁はすぐに修復されたが、悔しさは自分でしか晴らせない。懸命に腕を振り、積もり積もった鬱憤(うっぷん)を晴らした。

 この朝、前日に8回1失点で今季9勝目を挙げた大谷から「つなぎましたからね」と声を掛けられた。若き二枚看板で連勝し、ついに優勝マジック6。長いトンネルを抜けた有原から浮かんだのは安どの表情だった。(横市 勇)