◇パ・リーグ 日本ハム5―2ソフトバンク(2016年9月22日 ヤフオクD)

 Tシャツにハーフパンツ姿で、日本ハム・西川がバスへの歩を急いだ。天王山で2連勝を飾った感想を問われ、その速度は緩む。

 「試合前からみんな緊張していたと思う。これだけ大きなゲーム。緊張しない方がおかしい」と胸をなで下ろした。

 1年前の9月は調子が上がらず、1番から外された。打率3割を切り、2軍落ちを通告された。1番打者として、ふがいない思いを忘れたことはなかった。打率3割クリアは「めちゃめちゃ意識する」ことに決めた。

 あれから1年。勝ったチームに優勝マジックが点灯する一戦で、1番の働きを見せた。1点を追う2回2死満塁。武田の初球、内角134キロスライダーを捉え右前に運んだ。逆転の2点打。ベンチに向かって右腕を上げた。「浮いた球を狙っていた」。初回に打ち取られた球種を狙い打った。継続中の連続出塁はリーグ11位タイの43試合に伸びた。直前には9番・中島が10球粘って四球を選んでいた。「あれで投手も疲れたと思う」と、仲間のアシストに感謝を忘れなかった。

 今年は9月に入っても打率3割を超える。好調の要因は、夏場につかんだ「感覚」だった。軸足となる左足の前でバットをさばくイメージ。チームメートの田中賢、中島を参考に打撃練習から取り組んできた。

 守りも光った。5回、先頭・高谷の飛球が左翼線を襲った。フェンス手前まで全速力で追いかけ滑り込みながら好捕した。相手に流れを渡さない、攻めの守り。若干、照明が目に入ったが落下地点は誤らない。「今年一番のプレー」と声のトーンは上がった。栗山監督も「守りがいかに大事か分かってくれている」とうなったビッグプレーだった。

 攻守でチームをけん引する西川について、指揮官は賛辞を惜しまなかった。「自分がどこに向かうのか示しているシーズン。(西川)遥輝の力からすれば、これくらいはやれる」。1年間の成長は、大一番で証明された。 (川島 毅洋)