16年リオデジャネイロ五輪男子400メートル個人メドレー金メダリストの萩野公介(22=東洋大)が、世界最大手のタイヤメーカー・ブリヂストンと所属契約する意向を固めたことが13日、分かった。複数年契約で、世界記録達成のボーナス給などを合わせれば年間最高1億円(推定)に達する見込み。日本のプロスイマー第1号で、昨秋に契約したマネジメント会社の北島康介社長(34)が自ら交渉して最終調整に入っており、正式に決まり次第発表される。競泳界の絶対エースが東京五輪に向け、超一流企業とタッグを組む。

 今春に東洋大を卒業する萩野の所属先を巡っては、国際オリンピック委員会(IOC)の「ワールドワイドオリンピックパートナー」を中心に複数社が獲得に動いていた。400メートル個人メドレーで世界一に輝いたリオ五輪直後から争奪戦は始まり、昨年末まで交渉は続いたが、萩野は今年に入り進路を決断。近い関係者が「ブリヂストンに決めたようです」と明かした。契約は複数年で世界記録達成時のボーナス給などを含めると金額は年間総額1億円に達する見込み。破格の待遇を受けることになる。

 交渉で代理人を務めたのは04年アテネ、08年北京五輪で平泳ぎ2冠を達成し、日本コカ・コーラ所属でプロスイマーとして活動する北島氏だ。昨年10月に自らが社長を務めるマネジメント会社「IMPRINT(インプリント)」と萩野が契約。「全面的にバックアップするため、私の経験を少しでも生かすことができれば」と話した北島氏は、自ら企業に出向き、萩野が東洋大卒業後、さらに集中して競技に取り組むための態勢を整えた。

 ブリヂストンは巨大タイヤメーカーで、05年にフランスのミシュラン社を抜き、世界1位のシェアを誇る。連結の15年売上高は3兆7902億円。しなやかに路面を走る同社の製品イメージは極限まで抵抗を抑えた萩野の美しいフォームと合致する。かつて萩野は「みんなが今までやったことがないことをやりたい」と話していたが、その希望通りブリヂストン本社所属では初のスポーツ選手になる。リオ五輪後では体操の内村航平、陸上短距離のケンブリッジ飛鳥に続くトップアスリートのプロ転向。萩野の肖像権を管理している日本水泳連盟と日本オリンピック委員会(JOC)への申請が認められれば、今後は自由にスポンサー契約を結ぶことができる。 

 リオ五輪では金メダルを獲得した400メートル個人メドレーのほか、200メートル個人メドレーで銀、800メートルリレーで銅と3個のメダルを獲得。さらなる高みを目指す東京へ向け、昨秋には右肘の手術に踏み切った。今後に向けては「4月までには間に合わせたい」と今年7月の世界選手権(ハンガリー・ブダペスト)の代表選考を兼ねた日本選手権(4月13開幕、愛知)までのレース復帰を見据えている。昨年12月に「3年ちょっとしかない東京に向けての第一歩。大きく踏み出したい」と言った萩野。最強のパートナーとともに新たな歴史を刻んでいく。