どんな気持ちで、その言葉を送ったのだろう。1月13日。神奈川県厚木市で公開されたDeNAの選手の自主トレで、昨季限りで現役を引退した元エースの三浦大輔氏が、開幕投手に内定している石田健大投手に「俺みたいにならないように」と笑顔で激励の言葉を送った。7度開幕投手を務めながら、未勝利に終わった三浦氏だからこそのユーモアの効いたエール。だが、実は三浦氏よりも先に、同じ言葉を伝えた人物がいた。5年目を迎える三嶋一輝投手だ。

 「三嶋さんにも“俺みたいになるなよ”と言われていたんですよ」。石田がそう明かしてくれた。2年目の14年に開幕投手に抜てきされたものの、2回9失点で敗戦投手となった。法大の後輩でもある石田への、本心からのエールなのだろう。優しい性格。「後輩と自主トレをやれてうれしいですね。後輩にいい選手がたくさん入ってきて、置いていかれた感じもする。僕も若手のつもりで頑張ります」。穏やかな口調でそう語ったが、悔しさもにじんでいるように感じた。

 背水の覚悟で、17年シーズンに臨む。昨季はプロ入り初めて2軍で開幕を迎え、登板数は最少の4試合に終わった。2軍でチャンスを待ちながら、悔しさを押し殺して1軍の全試合をテレビ観戦した。11月の秋季キャンプでは、ブルペンで完成度の高い投球を披露して猛アピール。ラミレス監督から「秋季キャンプ投手部門MVP」に選ばれた。チーム最多の11勝を挙げた山口が、巨人へFA移籍。その穴を埋めるべく「抜けたことをチャンスだと思ってやりたい」と“ポスト山口”に名乗りを挙げた。今季へ向けて、オフは無休でトレーニングに励んでいる。屈辱の16年シーズンを糧に、必ずはい上がれると信じている。(記者コラム・中村 文香)