J1セカンドステージは残すところ、あと5節。優勝争いとともに、残留争いも佳境を迎えている。

 現在(セカンドステージ第12節終了時)、年間勝ち点で17位・アビスパ福岡と、18位・湘南ベルマーレはいずれも勝ち点19。残留圏内の15位・アルビレックス新潟の勝ち点27とは、勝ち点8の差がついている。

 残り5試合でこれを逆転することはかなり難しく、勝ち点で最下位の2クラブは、J2降格がほぼ決定的な状況だ。

 こうなると、J2降格はあと1枠。だが、最後の"ババ"を誰に引かせるのか、その争いは予断を許さない。

 一時は、セカンドステージ未勝利の名古屋グランパスでほぼ決まりか、という状況にもなりかけていたが、名古屋はセカンドステージ第11節で19試合ぶりに勝利。DF田中マルクス闘莉王の電撃復帰というカンフル剤の投入もあり、残留争いは混とんとし始めている。

 久しぶりの名古屋の勝利で、逆に尻に火がついたのは、その試合で名古屋に敗れた新潟である。

 新潟は、続く第12節でも横浜F・マリノスに1−3で敗れ、3連敗。辛うじて残留圏内の15位にとどまっているとはいえ、勝ち点23の16位・名古屋と勝ち点差4では、どう転んでも不思議はない。

 横浜FM戦後、落胆の色を隠し切れない新潟の吉田達磨監督は、「イージーに失点したことに尽きる」と話し、特に1失点目(右サイドからのクロスに対し、相手選手にあっさりとDFの前に入られた)について、「あそこであのレベルのプレーをしてはいいけない。あってはいけない、ありえないプレー」と断じた。

 この2試合、主力DFを負傷で欠き、窮余(きゅうよ)の策とでも言うべき3バックの布陣で戦う新潟。それでも、ピッチの幅を広く使ってボールを動かし、受け身になることなく、積極的に攻撃を仕掛けようとする姿勢は好感が持てる。試合内容そのものは、決して悪くない。

 ところが、指揮官が指摘するように、要所で"軽さ"を露呈して失点を重ねてしまう。これでは、せっかく自分たちのよさを出せている部分があっても自信を失い、どんどん悪循環に陥りかねない。

 また、厳しさを増す現状について、吉田監督が「残りの対戦や、今の流れがそう感じさせるのだろう」と話していたように、徐々に新潟に逆風が吹き始めているのも事実だ。

 現実的な残留争いの対象となる、14位・ヴァンフォーレ甲府(勝ち点28)から16位・名古屋の最近5試合の結果は以下のとおり。

◆甲府=○○△●△

◆新潟=●○●●●

◆名古屋=●●△○●

 確かに新潟の結果が一番悪いが、「今の流れ」という点ではそれほどの差はない。むしろ大きな問題となりそうなのは、「残りの対戦」のほうである。同3クラブの残る5試合の対戦相手は以下のとおり(※順位は年間。A=アウェー、H=ホーム)。

◆甲府=6位・柏(A)→8位・横浜FM(H)→17位・福岡(A)→18位・湘南(A)→11位・鳥栖(H)

◆新潟=3位・鹿島(H)→13位・磐田(A)→2位・浦和(H)→4位・G大阪(A)→5位・広島(H)

◆名古屋=12位・仙台(A)→17位・福岡(H)→13位・磐田(H)→9位・神戸(A)→18位・湘南(H)

 甲府と名古屋がいずれも福岡、湘南との対戦を残しており、特に名古屋は下位クラブとの対戦がほとんど。その一方で、新潟はトップ5との対戦が4試合も残っている。

 残留争いとは火事場の馬鹿力が試される戦いであり、過去の例を見ても、その時点での順位はあまり参考にならない。とはいえ、客観的に考えて、新潟がかなり不利な状況に立たされていることは事実だ。勝ち点4のアドバンテージも、逃げ切りに十分とは言えないだろう。

"Jリーグオリジナル10"のひとつである名古屋ほどのインパクトはないものの、新潟がJ2降格となれば、これもまたなかなかの"事件"であることは、これまでの歴史が物語っている。

 1999年のJ2創設時にJリーグ参入を果たした、"J2オリジナル10"のひとつである新潟は、2003年にJ2優勝。翌2004年からJ1で戦い続け、現在まで一度もJ2に降格することなく、今季でJ1在籍は連続13シーズンに達している。

 これは、今季の18クラブのなかでは、過去に一度もJ2に降格したことのない鹿島アントラーズ、横浜FM、名古屋を除くと、浦和レッズ(2001年から連続16シーズン)に次ぐ、長期のJ1連続在籍記録なのである。

 現在、年間勝ち点でトップを走り、強豪クラブのイメージが強い川崎でさえ、J1は2005年からの連続12シーズン。昨季J1王者のサンフレッチェ広島にしても、奇しくも2004年に新潟と一緒にJ1昇格を果たしているのだが、その後、2007年に再びJ2に降格しているため、現在まで連続8シーズン在籍にすぎない。この数字を見れば、新潟がいかに長くJ1で戦い続けているかがわかるだろう。

 確かに、新潟は強豪クラブとは言い難い。J1在籍13シーズンで最高成績は6位。ひと桁順位だったことは4シーズンしかなく、実際、ファーストステージを17位で折り返した昨季がそうだったように、残留争いに巻き込まれたことは1度や2度ではない。

 それでも、新潟はJ1の座を死守してきた。毎年のように主力を引き抜かれながらも、ブラジル人選手を含めた効果的な補強で、過酷なサバイバルを12年も勝ち抜いてきた。

 もちろん、サポーターの力も見逃せない。観客動員はJ1トップクラス。横浜FM戦ではもったいない敗戦にもかかわらず、「試合後、先週までのブーイングから、『さあ、行くぞ』という声援に変わった」(吉田監督)。

 気がつけば、J1で指折りの"老舗"である。

 はたして、新潟は目の前に立ちはだかる困難を乗り越え、来季、J1での14シーズン目を迎えられるだろうか。試練の5番勝負がまもなく始まる。

浅田真樹●文 text by Asada Masaki
山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio