WEEKLY TOUR REPORT
■米ツアー・トピックス

「今、世界で最もホットなプレーヤー」と呼ばれる松山英樹が、2017年初戦のSBSトーナメント・オブ・チャンピオンズを2位で終えた。これで、昨秋10月以降の成績は、日本ツアー、PGAツアー、アンオフィシャルイベントのヒーロー・ワールドチャレンジを含め、優勝、2位、優勝、優勝、優勝、2位という驚くべきものである。もちろん松山自身は、この試合で勝てなかったことに不満はあるだろうし、悔しい思いは誰よりも強いだろうが、"好調"を持続していることは間違いない。

 同大会で驚いたのは、松山がとりわけ絶好調な状態でプレーしているわけでもなく、ただ"普通に"プレーしているだけで、あっという間に順位を上げていったことだ。淡々とプレーしている中で、気がつけばバーディーを量産し、自然と優勝争いに絡んでいる。

 にもかかわらず、である。

「スコアが伸びているので悪いことは言いたくないけれど、自分の中ではティーショットも、100ヤード以内のショットも、パッティングも、全体的にはまだまだです」

 そう悔しげに松山は話す。その姿を見ていて、十数年前の、絶頂期にあったタイガー・ウッズが思い出された。当然、ウッズの強さにはまだまだかなわないが、勝利に対する思いなどがものすごく似ているのだ。

 1999年から2000年にかけて、ウッズはPGAツアーの出場試合で6戦連続優勝を飾ったことがある。この頃のウッズは、まさしく手がつけられないほど強かった。6試合目となるAT&Tペブルビーチナショナルプロアマでは、最終日に首位とは5打差があって、さすがにもうウッズは勝てないと思われたが、サンデーバックナインの15番パー5でイーグルを奪うと、そこから一気に逆転優勝を果たしてしまったのだ。

 ちなみに6連勝を遂げたあと、次の試合はビュイック招待(現ファーマーズインシュランス)だった。ウッズがジュニアの頃から何度も勝ってきた得意なコースで開催され、7連勝の期待も膨らんだが、ここでウッズは2位。連続優勝記録は途切れた。

 この頃、ウッズがよく口にしていた言葉は、「決して100%の調子ではないけれども、勝つことができた」だった。

 今の松山の発言も、それに近いものがある。「やるべきことをやっていれば、結果はついてくる」と臆することなく言い放ち、今大会でも勝つことはできなかったが、「何がいい、というわけじゃないけど、気がついたらスコアが伸びていた」と、驚くそぶりも見せずに平然と話す。

 当時のウッズの発言に対して、「好調でもないのに勝てたって、なんだか不遜だ」と反感を持つ人もいた。しかしながら、ウッズの真意はそういうことではない。

 ショットが絶好調ではない中で、いかにミスを少なくマネジメントして、いいプレーにつなげることができるか。それができれば、「100%の調子ではなくても勝てる」ということである。

 間違いなく、今の松山はそのポジションにいる。

 もうひとつ、ウッズが言った言葉で忘れられないものがある。

「出場する試合は、すべて優勝を目指してプレーする。2位はひどい成績だし、3位はもっと最悪だ」

 これは今から21年前、プロに転向したばかりのウッズが、PGAツアーのデビュー戦を前にして、ベテランプロのカーチス・ストレンジからインタビューを受けた際に発したコメントだ。

 それに対してストレンジは、PGAツアーで勝つことがどれほど大変なことかをわからせようと、精一杯の皮肉を込めて「これから学ぶことになるさ」と、ウッズに言い返した。

 ところが、結果はどうだろうか? ウッズの強さに、逆にストレンジが学ばされるはめになった。

 ウッズと同様、松山も常に「出るからには優勝を目指す」と言う。「逆に、優勝を目指さない選手っているんですか?」と、取り囲むメディアに疑問を投げかけたこともある。

 そうしたメンタリティーは、ウッズも、松山も同じだと思った。

 とはいえ、2位も、3位も、重要な意味を持つことがある。現にウッズはこうも語っている。

「勝てないこともあるけれど、最終日のバックナインで優勝できる位置にいることが大事。その位置にいられたら、たとえ勝てなくても、その意味はとても大きい」

 SBSトーナメント・オブ・チャンピオンズで、松山は勝利を逃した。だが、残り5ホールの時点で首位と5打差がありながら、一時1打差まで詰め寄ってドラマチックな戦いを披露した。その意味は、とても大きい。

 今週、松山は不得意とするソニー・オープン(1月12日〜15日/ハワイ州、ワイアラエCC)に挑む。過去4度出場して、3度予選落ち。2015年大会では予選通過を果たしたものの、3日目に足切りとなって最終日には駒を進めることができなかった。

 おそらく、PGAツアーの中で松山が最も苦手とするコースだろう。それでも、今年はその舞台で再び戦うことを決めた。きっと「出るからには優勝を目指す」と思っているに違いない。

 絶好調の今、松山はどうやってワイアラエCCを攻略していくのか。楽しみな1週間がまた始まる。

text by Reiko Takekawa/PGA TOUR JAPAN
photo by PGA TOUR