先週末、デビスカップのプレーオフを大阪で戦った日本はウクライナを相手に3連勝し、ワールドグループ残留を決めた。昨年の1回戦でカナダに出向いたときのメンバーとは、錦織圭以外全員が異なるというチーム構成。また、錦織をダブルスのみに起用し、若いダニエル太郎と西岡良仁でシングルス2勝したというフレッシュな〈勝ち方〉に、確かに将来性を感じたが、ではワールドグループで勝ち進む力はあるのだろうか。

大阪で最終日を待たずに勝利を決めた日本のエース錦織圭は、「ベスト4の国を見れば、(日本には)まだ足りないところがあると思う。でも去年決勝にベルギーが残ったことなどを考えれば、可能性も見えてくる。今しばらく耐えてワールドグループにいることが大切で、その中でいつかドロー運が傾けば上に行ける」と話した。錦織は会見中にこの「運」という言葉を口にしたが、確かにデビスカップではこの「運」が影響するところが大きい。ドロー運というよりも、相手チームが主力を揃えられるかどうかという運だ。

錦織が例に出したベルギーは、1回戦でロジャー・フェデラーもスタン・ワウリンカもいないスイスに競って勝ち、準々決勝ではミロシュ・ラオニッチのいないカナダに圧勝。準決勝ではまだファンマルティン・デルポトロが復帰していないアルゼンチンに競り勝ち、決勝進出を決めた。対戦した全ての国がそのときトップ選手を欠いていたのだ。それが、昨年の1回戦が始まる時点でエースのダビド・ゴファン以外トップ100に一人もいなかったベルギーの決勝進出の現実である。

つまり、ワールドグループの国々がそれぞれベストメンバーでかかってきたら、日本が勝ち進むのはかなり厳しい。しかし、苛酷なツアーの合間に戦われるデビスカップの現状を見れば、〈チャンス〉はあるのだ。もちろん運とは幸運ばかりではなく逆もあることを忘れてはならないが、とにかくワールドグループにしがみついていれば、いい運がいつか巡ってくるかもしれず、その運を勝ちにつなげるだけのチーム力を確実につけていきたいと、錦織は言っているのだろう。

そのチーム力のためにも、今回脚光を浴びた若い力だけではなく、1年前を戦ったメンバーたちの奮起にももう一度期待したい。特に、7月に肘を手術した伊藤竜馬は現在130位までランキングを落としているが、今回チームに復帰して活躍した杉田祐一と同い年でライバル同士として意識し合ってきた仲であり、来年もチームがワールドグループにいることは個人ツアーでの復活のモチベーションにもなるのではないか。

なお、ワールドグループではベスト4に残っていたイギリス、アルゼンチン、フランス、クロアチアの中からアルゼンチンとクロアチアが決勝進出を決めた。今年のグランドスラムのチャンピオンを単複それぞれ擁するイギリスでなくアルゼンチンが勝ち、トップ30に国別では最多の5人が名を連ねるフランスは主力を欠いてクロアチアが勝利。アルゼンチンはデルポトロ、クロアチアはマリン・チリッチが大仕事をしたが、一人だけでは勝てない。シングルスにしろダブルスにしろ、少なくとも〈もう一人〉の力がカギになる。