錦織圭が2回戦で途中棄権した楽天ジャパンオープンは、21歳のニック・キーリオスの初優勝で幕を閉じた。今年『250』カテゴリーでの優勝は2度あるが、『500』以上でのタイトルはまだなかったキーリオスにとって記念すべき優勝。錦織圭を失って意気消沈した大会だったが、キーリオスのおかげで海外からの注目度は比較的高かったといえるだろう。

キーリオスの日本好きはテニス通の間ではかなり有名で、ジュニア時代には3年続けて大阪の世界スーパージュニアに出場して3年目に優勝。それが、ジュニアの国際大会での最高格付けとなる『グレードA』でのシングルス初タイトルとなった。昨年からはお姉さんが大阪に住んでいて、いっそう日本、特に大阪には親近感を持つようになっている。

「なんといっても日本の食べ物はおいしい。去年はユニバーサルスタジオにも行って、とても楽しかったよ」

姉はそのUSJでダンサーをしているのだという。

そして、彼を日本贔屓にしている最大の理由は、日本のテニスファンだ。おとなしすぎるとか、盛り上げ下手とか言われることもあるが、キーリオスはその印象をこう話す。

「日本の観客はよくテニスをわかっている。試合に熱狂するとかいう感じではないけど、いいプレーにちゃんと反応してくれるし、選手に対するリスペクトが感じられる。ジュニアでプレーしたときから感じていたことだ。とても居心地がいい」

日本人はテニス観戦においてはよほどのことでもブーイングをするといった習慣はないし、極端にどちらかを応援することもない。キーリオスといえば、相手選手の暴言を吐いたり、主審と喧嘩したり、ときには観客にまで悪態をつくという素行の悪さで知られるが、そういう日本の観客の前では今回一度もキレなかった。見た目こそ怖いが、この経験を機に大人のプレーヤーに成長するのではないかと期待さえ抱かせたのだが、人間そう簡単には変わらないらしい。