男子テニス元世界ランク2位のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/現27位)が、イギリスの大手ニュースメディア『Sky Sports』のインタビューに登場。右足首の大ケガから復帰して以降なかなか調子が上がってこない現状を踏まえ、苦しい胸の内を吐露した。

 ATPツアーで19度もの優勝を誇り、2021年の東京五輪でドイツ人男子選手として初めてとなるシングルスでの金メダル獲得を果たすなど、キャリアの初期から素晴らしい活躍を見せてきた26歳のズベレフ。そんなドイツテニス界のヒーローを悲劇が襲ったのは昨年6月の全仏オープン準決勝でのことだった。

 赤土の王者ラファエル・ナダル(スペイン/現15位)と対戦した際に右足首を激しくひねってしまい、そこから半年間にわたってツアーを離脱。同箇所の手術と懸命なリハビリを経て昨年12月のエキジビションツアーで復帰を果たしたものの、それから約半年が経過した今もツアー公式戦では思うような結果が出ていない。

 また欧州クレーシーズンに入ってからも同年代のダニール・メドベージェフ(ロシア/現2位/27歳)にストレート負けを喫して4回戦敗退に終わった先週の「イタリア国際」(ATP1000)を含め、ここまでベスト8以上に進出した大会は1つもない。
  不調が続くズベレフは現地5月22日に更新されたATPの最新ランキングで22位から27位に後退。これにより5月初旬のマドリード大会(ATP1000)でマスターズ初の決勝進出を果たし、先週行なわれた下部大会「ボルドー・チャレンジャー」(フランス・ボルドー/クレーコート/ATPチャレンジャー)でベスト4に進出した同郷のヤン‐レナード・ストルフ(現26位)に、長らく守ってきたドイツ人男子1位の座を明け渡すこととなった。

 ローマ4回戦でメドベージェフに敗れた直後に『Sky Sports』のインタビューに応じたズベレフは、ケガ明けからなかなか質の高いパフォーマンスができないもどかしさを、独特の表現を交えてこう語っている。

「今の僕はベストの状態から1000キロ離れている。何も言う気にならない。今回のローマも期待していたより早く敗退してしまった。

 僕は勝たなければならない。そうすれば多くの問題が解決するのに、もう何を言っていいのかわからない。今のところ今シーズンは、2015年、16年以来、最悪のテニスをしていると思う」

 ズベレフがもがき苦しんでいる姿を見ていると、どんなに強い選手でもケガからの復活は非常に難しいということを実感させられる。とにかく今は調子が上がってくることを焦らずに待ちたいものである。今週出場する「ジュネーブ・オープン」(5月21日〜27日/スイス・ジュネーブ/クレーコート/ATP250)では少しでも自信を得られる結果を残してくれることを期待したい。

文●中村光佑

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