「日韓通貨スワップ」が再開へ向けて議論されるようです。3年前にいったん終了したものがなぜ再開なのか。日本にとってのメリットはあるのか。韓国経済をめぐっては、世界有数の海運会社である韓進海運の経営破綻が報じられました。韓国経済の現状と合わせて、岡山大学経済学部教授の釣 雅雄氏があらためて解説します。

あらためて通貨スワップとは?

 韓国ソウルで8月27日に日韓財務対話が行われた際、日韓通貨スワップ再開の議論開始が決まりました。日韓通貨スワップとは、日韓どちらかの国の通貨に危機が生じた時に、通貨(米ドル)を融通・交換するというものです。ただし、日韓通貨スワップは、主に韓国ウォン危機への対応といえます。日本側がドル不足に陥ることはまず考えられず、一方で、韓国ウォンは世界経済の情勢からの変化を受けやすいからです。

 日韓通貨スワップは、かつても最大で700億ドル規模で行われていましたが、2013年7月に協定満期により終了しました。日韓財務対話前の記者会見(8月24日)で、麻生財務大臣は、「向こう(韓国)は要らないという話だったので、それではいいのではないですかというので切ったというのが経緯ですから、必要というのであれば向こうからその話が出れば検討します」と述べているので、再開の議論は韓国側の要望によると考えられます。

 通貨スワップ協定とは、どちらかの国が通貨危機等に陥った場合に一方の国がドルを貸し出すもので、通貨への信用を強めるための協定です。かつての日韓通貨スワップの額が30億ドルから700億ドルに引き上げられたのは、欧州危機(ギリシャ財政危機)の時で2011年10月でした。ウォン安は11月で止まっているので、効果はあったと考えられます。

 現在の状況は、このような協定を結ぶことで、通貨危機を未然に防ごうというものです。実際により深刻な通貨危機が生じた場合のドル不足に十分な額というわけではありません。2016年の外国為替の取引額は1日で約5.1兆ドル(BIS, Triennial Central Bank Survey, Foreign exchange turnover in April 2016)にも上ります。700億ドルという規模で韓国ウォン危機を解決できるものではありません。そのため、日韓通貨スワップには、スワップ(交換)による損失リスクが日本にもあります。