広告代理店の電通が、ネット広告の取り扱いについて不正があったことを認めました。今回の不正はインターネット広告で発生しましたが、何といっても広告の本丸はテレビです。テレビの広告は大丈夫なのでしょうか。

ネットの運用型広告ってどんなもの?

 今回、不正の対象となったのは、運用型広告と呼ばれる種類のネット広告です。従来型のネット広告は、広告を一定期間単純に表示し続けたり、所定のクリック数に達するまで表示するなどシンプルな形式がほとんどでした。しかし、最近では、こうした単純な広告は少なくなっており、広告を動的に配信し、価格をオークションで決める形式が増えています。

 運用型広告の場合は、広告の配信状況を見ながら、常に入札価格を変えていかなければなりません。入札価格の設定がうまくいかないと思った通りに配信できない可能性があります。今回の不正は、担当者のミスで予定通りの配信ができなかったにもかかわらず、広告主には正常に配信できていたと虚偽の報告を行っていたようです。

過去には地方テレビ局が虚偽の報告書を作成していたことも

 今回の不正は、ネット広告の分野でしたが、広告ビジネスの中心はやはりテレビです。テレビCMについても、以前、放送の不正が発覚するという事件が起こっています。

 1990年代の半ば、複数の地方テレビ局が、実際にはCMを放送していないにもかかわらず、広告主からは広告料を徴収するという、いわゆる「間引き」を行っていたことが発覚しました。あるテレビ局では、最大で1年間に3000本近くのCMを間引いていたといわれています。テレビ局側は虚偽の報告書を作成して広告代理店に送付しており、代理店側はウソを見抜けず、広告主からはCMが放送されたことを前提にした料金を徴収していました。

 この不正は、内部告発で発覚しており、最終的には関係者が懲戒処分されるという形で解決が図られました。その後、民放各局では、CMにコードを埋め込む方式を導入するなど防止策を強化しています。

テレビの視聴率は、視聴数の把握が困難

 テレビの場合、実際にCMが放送されたのかという問題に加えて、どのくらいの人が番組を見ているのかという、いわゆる視聴率の把握が困難という課題もあります。

 現在、視聴率の測定は、ビデオリサーチという専門会社が行っており、無作為に選ばれた世帯に設置された機器が、どの時間帯にどの番組を見ているか自動的に集計する仕組みになっています。

 同社の調査方法に対しては、600という少ないサンプル数で正しい評価ができるのかといった疑問の声も一部から出ていますが、統計学的には十分な裏付けのある数となっており、一定の信頼度は保たれています(10月からサンプル数を900に拡大予定)。

 また同社は電通が34.2%を出資する関連会社ですが、その他の株主はテレビ局各局などが名前を連ねており、とりあえずの独立性が担保されています。今回のように、すべての情報が代理店側に集中している状況と比較すれば、透明性は高いといってよいでしょう。

(The Capital Tribune Japan)