ドイツ銀行の経営危機問題が市場で話題となっています。一部からはリーマンショック級の危機になるとの声も聞こえてきますが、ドイツ銀行の経営は本当に危ないのでしょうか。

株価は今年に入って急落

 ドイツ銀行の株価は今年に入って急落しており、9月末には一時、10ユーロを割り込む水準まで売られました。同行の経営が厳しい状況となっているのは事実であり、2015年12月期の決算は約68億ユーロ(7790億円)の赤字となっています。

 一部からはドイツ銀行は多額の不良債権を抱えており、場合によってはリーマンショック級の危機が発生するとの声も出ていますが、状況は少し違っているようです。ドイツ銀行は、不良債権で苦しんでいるというよりは、マイナス金利政策による利ざやの縮小で儲からなくなっており、これが赤字の原因となっているからです。

 EU(欧州連合)の銀行監督機関であるEBA(欧州銀行監督機構)は7月、主要行における健全性の検証(いわゆるストレステスト)を行いました。ドイツ銀行はあまりよい結果ではありませんでしたが、自己資本がマイナスになるといった状況にまではなっていません。イタリアのモンテ・パスキなど多額の不良債権を抱えている銀行がたくさんあることを考えると、ドイツ銀行だけが特段に悪い状況というわけではなさそうです。

原因はマイナス金利による利ざやの縮小

 それでも市場がドイツ銀行の経営を不安視しているのは、ドイツ銀行はドイツ最大の銀行であり、世界の金融市場に対して極めて大きな影響力を持っているからです。もしドイツ銀行に何かあった場合に市場が受ける影響を考えると、どうしても敏感にならざるを得ないわけです。

 これまでドイツは、スペインやギリシャなど債務問題が顕在化した国に対して厳しい姿勢で臨んできました。このため自国の銀行について安易に救済するとは言いにくい状態になっています。こうしたことも市場の不安心理を大きくする要因となっているようです。

 先ほど説明したようにドイツ銀行が儲からなくなっている最大の原因は無理な貸し出しによる不良債権ではなく、マイナス金利による利ざやの縮小です。これに加えて米司法省が金融商品の不正販売問題で多額の制裁金を課しており、これも同行の経営を圧迫する要因になっています。マイナス金利は当分続く可能性が高く、このまま何もしなければ、同行の経営不振も継続することになるでしょう。

 ドイツ銀行の行員は目もくらむような高額報酬を得ていることで知られていますが、増資を行って経営体力を回復するためには、職員の大リストラは必至の状況です。また場合によっては他行との合併など金融機関の再編という形になるかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)