終身雇用の制度は事実上崩壊していると言われてから久しいですが、一つの企業で長く勤めたいと望む労働者が約6割にのぼることが厚生労働省の調査で分かりました。終身雇用制度と長時間労働には密接な関係があるといわれていますが、終身雇用の希望者が多いということになると、やはり長時間労働やサービス残業の問題解決はなかなか難しそうです。

 厚生労働省が9月30日に発表した2016年版「労働経済の分析」(労働経済白書)によると、「出来るだけ1つの企業で長く勤めることが望ましい」「どちらかといえば望ましい」と考えている労働者は60.7%に達する一方、「企業にとらわれず流動的に働けることが望ましい」「どちらかといえば望ましい」と考えている労働者はわずか16.6%でした(労働政策研究・研修機構の調査をもとに厚労省が独自集計)。あくまで希望というレベルですが、多数の労働者が終身雇用を望んでいることが分かります。

 一方で多くの労働者が現実とのギャップを抱えていることも明らかとなりました。「1つの企業だけで一生働き続けることは可能」「どちらかといえばそう思う」と考えている人は35.8%しかなく、「倒産や解雇はいつ起こってもおかしくない」「どちらかといえばそう思う」と答えた人は38.8%とほぼ同レベルとなっています。6割の人は、終身雇用を望んでいるものの、その半数以上は、現実には難しいと考えているわけです。しかし逆に見れば、残りの半分は、終身雇用が望ましいと強く思っており、実際、1つの企業で働き続けることは可能だと考えていることになります。

 当然ですが、この傾向は年齢が上がるにつれて高くなってきます。「倒産や解雇はいつ起こってもおかしくない」「どちらかといえばそう思う」と答えた人の割合は、20代は41%、30代は41.4%だったのに対して、40代は37.8%、50代は35.6%となり、65歳以上では27.4%まで減ってしまいます。