事務用品通販大手アスクルの火災がようやく消火されました。事故の詳細な原因や正確な被害総額などはまだ分かっていませんが、今回の火災は同社の経営にどのような影響を与えるのでしょうか。

どんな物流センターだった?

 火災が発生したのは、埼玉県三芳町にある「アスクルロジパーク首都圏」です。同社は全国に7カ所の物流センターを構えていますが、埼玉県のセンターは横浜と並んで、首都圏地域の配送を担う重要拠点となっています。アスクルは、従来からある法人向けの通販サービス「アスクル」に加え、近年、消費者向けの通販サービスである「ロハコ」を強化しています。同センターではアスクルとロハコ向けの商品約7万点が管理されていました。

 通販業界ではこのところ、配送サービスの競争が激化しており、アマゾンと並んでアスクルはその先端を走っています。同社は配送作業を効率化するため、積極的にロボットを導入。このセンターでも作業の自動化が進められてきました。センター内部にはベルトコンベアが配置され、ロボットが商品をピックアップして、次々に段ボール箱に梱包していきます。ロボットには画像認識システムが接続されており、自動的に商品の形状や状態などについてロボットが認識できる仕組みです。

財務的にもキャッシュフロー的にもほとんど問題なし

 倉庫はひとたび火災が発生すると、消火が難しい施設といわれています。商品の中には可燃性のものが含まれますし、多くが段ボールという燃えやすいもので梱包されています。また窓が少ないため放水もやりにくいといわれます。同社は東日本大震災で物流センターが被災したことから、とりわけ災害対策には気をつかっていました。残念ながら、今回は火災という人災であり、最新鋭の施設でも延焼を食い止めることはできなかったようです。

 同社は火災の被害額について、まだ調査中としているものの、固定資産や棚卸資産の帳簿額などから最大で120億円程度と発表しています。そのうち、保険でカバーできる金額は最大で約46億円ということです。

 同社には現在、500億円の自己資本と400億円近くの現金があります。財務的にもキャッシュフロー的にもほとんど問題はなく、仮にこの金額がまるまる損失になったとしても同社の屋台骨が揺らぐことはありません。ただ、しばらくは配送網の再構築などに注力する必要があり、今後の投資計画は後ズレもしくは縮小となる可能性もあります。中長期的にはそれなりの影響があるかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)