聖徳太子ゆかりの四天王寺(大阪市天王寺区)で恒例の古本市が開かれ、大勢の古本ファンらが詰めかけている。掘り出し物を探したり、ライフワークのテーマを追いかけたり、それぞれのスタイルで本と向き合う。会期は12日まで。

登山が好きで山のエッセイ集を購入

 この古本市は古書店の親睦団体関西古書研究会が主催。四天王寺の広い境内に、文学、歴史、アートなど、専門ジャンルの異なる古書店がテントを並べて出店。広くて深い品ぞろえに魅了されて、多くの古本ファンが訪れる。

 昭和期に活躍した版画家畦地梅太郎のエッセイ集「山の足音」を購入したのは、大阪府在住の60代男性。若いころから山登りが好きで、山をテーマにした本を見つけては読み継いでいるという。「畦地さんの版画は山の雑誌で親しんでいた。『山の足音』は初版本の割には格安なので購入しました」と、満足げな表情を浮かべた。

 兵庫県から駆け付けた40代男性は、6点の古地図をまとめ買い。「鉄道ファンで時刻表などを集めている。地図も気になるので、手ごろな値段なら欲しくなりますね」と、話した。

1枚物の独自の境地で悠々と遊ぶ

 「開けてみていいですか」と、古書店主の了解を取って、男性が小さな作品の包装を解いて中身を取り出す。出てきたのは、バスの古い路線図。横に長い紙1枚の印刷物で、名刺大に折りたたんで携帯できるよう工夫を凝らす。

 とはいえ、薄くて小さい。つい見逃してしまいそうだが、気に入ったらしく購入を決めた。「(古本市にも)なかなか出てこないところが良くて」と、少し照れながらも、1枚物の魅力を披露してくれた。独自の境地で悠々と遊ぶ。1枚物ファンの間では、古地図や絵はがきへの関心も根強い。

 1冊100円、200円などの均一コーナーは、人気のホットコーナー。掘り出し物を探す人たちが、真剣な表情で本の山と格闘する。

銀幕スターと再会できる映画のスチール写真

 16回目を迎え、「能楽からアイドルまで」と題して、芸能を特集。各古書店がコレクションから芸能関連の古書などを持ち寄った。同研究会の事務局を務める大仙堂書店は映画のスチール写真を多数展示。映画が娯楽の王様だった時代、スチール写真は撮影現場の俳優たちを、専属カメラマンが撮影。映画の封切りに合わせてメディアや映画館などに配布され、宣伝に活用された。

 作品の一部を並べるだけでも、往年の銀幕スターたちと出会う。スチール写真は大半がモノクロ撮影だったことが分かる。1枚100円から300円の買い求めやすい価格だ。

 店主の菅哲夫さんは「1枚ずつ作品名などを確認し、包装する手間暇を含めると、割に合わない分野ですが、映画のスチール写真の世界を知ってもらえたら」と、将来を見据える。1枚のスチール写真が、昭和世相史のひとコマを写し出す。

 開催時間は午前10時から午後5時まで(最終日の12日は午後4時まで)。雨天の場合は中止。
(文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)