レギュラーシーズンの終了で、プロ野球のセ、パ監督の来季の顔ぶれが、ほぼ固まった。新監督に入れ替わるのは、谷繁元信監督(45)が途中休養していた中日の森繁和新監督(61)と、西武の田邊徳雄監督(50)の退任に伴い、中日のコーチからの転身となった西武OBの辻発彦新監督(57)の2人だけ。最下位の監督は、就任1年目など、よほどの要素がない限り続投が難しいものだが、オリックスの福良淳一監督(56)は、大方の予想に反して留任となり、進退が正式に決まっていないのは、クライマックスシリーズからのリベンジ、日本一を狙っているソフトバンクの2年目、工藤公康監督(53)の一人だけになっている。

 さて、その2人の新監督は、成功するのか?

 最下位に終わった中日の森監督は、就任会見で「一からやり直して次の人に渡せたらいい。いい形ができたと思ったらそのときは身を引く」と、2軍監督から入閣する次期監督候補の小笠原道大氏(42)への“つなぎ監督”であることを明言。チームの建て直しのテーマを「センターラインを中心に守り抜く野球が理想。でも、点が取れないとそこには結びつかない。底上げをしないと無理だし、タフで強い選手に鍛えたい」と巻き返しを誓った。
 
 古巣の西武に21年ぶりに復帰することになった辻監督は、「守備で言えば必ずつかむ、打つ方だったら食らいついていく、と選手ひとりひとりの気持ち次第でチームは変わってくる。いくら野手が打っても投手が点を取られる、投手が抑えても野手が点を取らなければやられる。大事なのはバランス」と、現役時代8度のゴールデングラブ賞を獲得した名二塁手としての守備と、日本シリーズでの伝説の走塁で名を上げた人らしい抱負。

 チームは今季101失策を記録するなど、守備の乱れがチームの足を引っ張った。辻氏の人選は、チームのウイークポイントを埋める意味では、正解かもしれない。そして、この新監督の2人には、西武出身で、西武の黄金期の野球を叩き込まれたという共通項がある。
 
 元西武の監督で、2人の現役時代に、その西武野球を教えた球界大御所の広岡達朗氏に、監督初就任となる2人についての監督資質を聞いた。

「辻の現役時代は、新人の1年しか見ていないが、面白い選手だという印象を持った。バットを長く持っていたので『それでは打てない、短く持て』とアドバイスをしたが、即実行して、首位打者にまでなった。1をいえば、10を知る頭の良さと、実行力がある。指導者としての素養を感じたので、ロッテのGM時代に彼を誘ったこともあった。西武は失策が多く、守りから乱れた。辻なら、そこを建て直せるが、監督以上に重要なのはコーチ。辻は、そういうコーチを育てなければならない。V争いができる戦力が今年もあったと思う。物足りないのは、痛いのかゆいので、年間を通じて4番に座れなかった中村剛也の存在。チームの柱になる選手が出たり入ったりしていれば勝てない。横浜DeNAが、クライマックスシリーズに出場できたのは、筒香という不動の4番が結果を出したから。辻は、そういうチーム作りの基本をわかっているだろうから、彼がどうするかが見物。辻には、監督として成功する資質を感じる」

 辛口の広岡氏が、珍しくべた褒めだった。辻新監督は、1999年に現役を引退すると、ヤクルト、横浜、中日で、コーチや2軍監督として指導者経験を積んだ。あの中日の落合博満GMも、辻新監督の指導力を評価して、信頼を寄せていた。ローテーションの一人、岸孝之のFA流出危機などの不安要素はあるが、菊池雄星が1本立ちしたし、そもそも打線にはAクラスの迫力がある。辻新監督の采配への期待が高まる。