bonobosが2年ぶりとなるニューアルバム『23区』を、9月21日にリリースした。それを受け、今回メンバー5人にインタビューを敢行。後編となる今回は、新譜だけでなく15周年を迎えたバンドの今後についても尋ねてみた。

――今回『23区』というアルバムタイトルに決めた思い、理由などはありますか?

蔡忠浩(Vo,Gt):当初はアルバムのタイトル候補が別にあったんですよ。もう少し宇宙的なものだったんですけど、特に今回歌詞が書き上がるのがずいぶん遅かったんですよ。

全体が書き上がって眺めながら「アルバムタイトルに何がいいかな〜」って考えた時に、一曲一曲見ていくと、割と自分が住んでいる東京の郊外の風景だったり、都会・都市のムードのようなものが強く出ているなと思ったんです。

アルバム全体のムードを表しているんじゃないかなと思って、「思い切って『23区』を表題にするのが一番いいかもな」と。あと、これは裏の話なんですが、アルバムのリード曲を決める時に、「Crusin' Crusin'」か「23区」か、どっちにするかで意見が割れたんです。

一応リード曲は「Crusin' Crusin'」になったんですけど、「『23区』もぜひ聞いてほしい!」っていう思いがあって。それでアルバムタイトルを『23区』にすると、2つともリード曲みたいな印象が出せるかなって。

――ちなみに皆さんはそれぞれどちら派だったんでしょうか?

小池龍平(Gt):俺「23区」派だった。

梅本浩亘(Dr):僕は「Crusin' Crusin'」。

森本夏子(Ba):私も。

田中佑司(Key):僕も「Crusin' Crusin'」かな〜。

蔡:僕はどっちもいいなって(笑)。ずっと悩んだんですけど、「まぁ『Crusin' Crusin'』でいいかな〜」みたいな。でも、他のスタッフだったり、知り合いとかに聞いてみると、意外と「23区」派の人が多かったんですよ。

小池:意外とね。

森本:そうなんだ〜。

蔡:そういう理由もあってこうなりましたね。

――そんなアルバムのラストを飾る楽曲「23区」では、歌詞の中で東京の西側に向けた目線なども感じたのですが、今作の中でどこか特定の場所をイメージされた曲などはありましたか?

蔡:ん〜、そうですね…。割と僕の住んでいるところの近くに多摩川が流れているので、その辺走ったりも…そんなにめったにはしないですけど(笑)。

一同:(笑)。

蔡:たまに行ったりね。で、夕暮れ時にそこ通ったりすると、すごくいいんですよね。やっぱり東京の大都会ではあるんですけど、すごく開けた場所で、雨上がりとかも美しいですし。風景としての多摩川が好きなんですよ。そういう場所は割とイメージしながら、歌詞の中にも入りこんでますね。

「23区」は、意外と視点がごちゃごちゃなんですよ。中央道とか首都高を西に走っているビジョンもありつつ、甲州街道を走っているビジョンもありつつ、多摩川沿いを走っているビジョンもありつつ…みたいな。そういうのがグチャッと混ざった感じですかね。

――では、トータルで「東京」というようなイメージでしょうか。

蔡:そうですね。具体的に言うと、本当は東京郊外なので、23区外なんですけど(笑)。まあでもその辺は…。

――ことしで結成15周年を迎えられて、ここまでバンドとしても紆余(うよ)曲折おありだったかと思いますが、この15年を振り返っていかがでしょうか?

蔡:どうでしょうかね〜。15周年も言われてみて「あ、そうか」って思ったくらいで。10年目は日比谷野外音楽堂でライブをやったんですよ。でもことしは忙しかったのもあって。ちょうど夏の間にレコーディングしていたのもあって。あんまり何も考えてなかったです。

あと、結成15周年って言っても、今の5人で結成当初からいるのは少数派なので(笑)。むしろデビューのような気持ちなんです。今回5人になって、何か一回リセットされた感はありますね。まあやるとしたら、活動開始から20周年まで続けば、その時は何かやりたいなとは思います。生きていればね(笑)。

――では、5年先、10年先に向けて、バンドとしてこうしていきたいというプランなどはありますか?

蔡:そうですね、まぁ〜アルバムが出来上がったばっかりなのであまり…(笑)。

一同:(笑)。

蔡:でもこの5人ではまだ始まったばかりなので。今回いいアルバムが録れたと思うんですけど、まだまだできることはいっぱいあって。

恐らくメンバーも独自でやりたいことも絶対あるはずなんで、それをどんどん吸い上げて、養分として、bonobosでみんなで表現して。長く続けられるバンドになればいいですね(笑)。いろいろあるんですよ、インスト主体のアルバムを作りたいというのもあるし。

――今回アルバムの中に短いインストの曲(4曲目の「Paper(jam)」)もありましたが、この曲を入れたのは、やはり5人でのセッション感を残しておきたかったということでしょうか?

蔡:これはでも、思い付きですよね。5曲目の「Shag」と本来くっついていた曲なんですよ。で、「『Shag』の前にセッションっぽいものを入れたいよね」みたいな話をして、スタジオで「じゃあこんな感じで」「あ、カッコイイね」って。本当に思い付きですね(笑)。

田中:でも、曲が生まれた瞬間でもあるじゃないですか。

蔡:あれどうだった? 俺はこれ、何にも参加してないから分かんないんだよね。スタジオで聞いてたから。「あ、カッコイイね」って言ってたくらいだからさぁ。

田中:曲が生まれた瞬間ということと、何か新しい、新人バンド的な状態をリンクさせたら、すごく面白い位置付けになるのかなと、今思いました(笑)。

蔡:「Shag」という曲が始まる前のイントロとして、「こういうイントロがあって始まるとカッコいいよね」っていうところから始まった感じです。

――10月からは全国7カ所を回るツアーも始まるということですが、アルバムを踏まえてライブではどんなことを見せたいというのはありますか?

蔡:楽曲自体は割とどれも難しいので、まずは精度の高い演奏を本番までに用意したいというのがありますけど(笑)。あと、曲の中にもそれぞれの見せ場があるんですけど、もうちょっと長めの、みんなの見せ場とかがあってもいいのかなとは思いますね。

まだリハーサルが始まってないから何とも言えないですけど、思い付きですね。俺の休憩する時間がね(笑)。割と、5人でできる曲もあれば、到底5人では再現できない曲もあるので、その温度感がね。何かこう、割と自由に再構築していければ。

小池:ね。アルバムの一曲目(「東京気象組曲」)とかどうするかね。めちゃくちゃすごい管楽器の音が入ったりしてるんですけど。

蔡:なのであんまり、再現性ばかりにとらわれないような、ライブらしい演奏になったらいいかなと思ってます。

――それでは最後に、ファンの皆さんに向けてメッセージをお願いします。

小池:今回のアルバムは、僕自身すごくいろいろなチャレンジがあったレコーディングでした。なので、必然的にそういうういういしい、青春っぽい感じが僕のギターから出ると思うんですけど、みんなにもそういう青春を感じてほしいですね。いつも思うんですけど、bonobosを青春しに来てほしいというか。

蔡:「レッツビギン!」みたいなね。

小池:みんなも、人生の中ですごく良かったり悪かったり、別れとかいろんなキツイ瞬間があったりすると思うんですけど、そんなときに関われる音楽になりたいっていうか。そう思ってます。なので、ライブでもそういう感じでも演奏できればいいかなと思ってます。

森本:すごい、何かイイこと全部言うな〜。

蔡:これみんなで言ったことにしてもらっていいですか?(笑)

――せっかくですので、皆さん一言ずつお願いします(笑)。

森本:さっき15年を振り返ってみてという質問があったんですけど、心底本心から、今が一番素晴らしいバンドの状態だと思っていて。

一同:おお〜!(拍手)

森本:もともと蔡くんが始めたバンドで、蔡くんの宅録がもうすでにbonobosだったんですけど、その蔡くんも、今が一番いいって本当に幸せそうにしているし、私も本当に心身共に…。

蔡:疲れた?(笑) そういう感じじゃない?

森本:(笑)。楽しさも、音楽の内容も、技術も全て含めて本当に今が最高だと思っているので。本当に、昔から聞いている人もそういう目線で聞いてもらえたらうれしいし、新しいファンも、ぜひいっぱい増えたらいいなって思っています。

蔡:森本も言ったんですけど、本当に今バンドの状態が最高で。今までだと、曲作りもそうだし、アレンジもそうだし、ライブでどういうライブをするかとか、僕が全部引っ張って行かなきゃと思っていたんです。ライブに関しては森本さんも相当頑張っていたんですけど。

そうして自分がやらなきゃいけないってずっと思っていたんですけど、今の5人だと、むしろ僕が一番落ちこぼれてんじゃないかなんていう感じになってきたので。15年やってきて、こんな「さらにスキルアップせんとな〜」って思えるような人たちと一緒に音楽ができて、とっても幸せです。

小池:気持ちよくさせてくれるね〜。

梅本:僕はバンドに最後に入ったんですけど、僕自身今回のアルバムがbonobosに入ってガッツリレコーディングに参加した初めての作品で。それに続くツアーなので楽しみです。

僕はまだbonobosとして1年くらいしかやってないんですが、(ファンの皆さんが)「アイツ誰やねん」ってなってる感もまだあると思うので、それをこのアルバムがボーンって出て、ライブですごいいい演奏して、「俺やで!」っていうのを(笑)。

森本:知らしめるんやな。

梅本:(自分のドラムが)ええでっていうのを(笑)。

一同:(爆笑)。

梅本:みんなと一緒にガツンと行きたいと、本気で思っています(笑)。

田中:蔡さんから初めて曲を聞かされた時の、体感できた驚きとか喜びみたいなものが、今回アルバムが出てお客さんの前で演奏することで、ようやくみんなと共有ができる場が訪れるんだなと思うと、すごく楽しみです。

とにかく、bonobosという名前は付いているんですが、今までにないものが見られることになると思いますので…。

蔡:あ、言っちゃった。

森本:でもそうだよね〜。

小池:ビッグやな〜。

田中:僕はビッグです(笑)。なので、ぜひそれを目撃しに、体感しに来てくれれば、僕らもうれしいです。