前回(イベント「メンフリ」インタビュー http://thetv.jp/news_detail/89450/)の中で、“ありそうでなかったものを形にする”という自身の企画術について話してくれた鈴木おさむ氏に、昨今のテレビを取り巻く状況についても聞いてみた。

■ 「一般の人たちのほとんどがテレビ視聴者である」という前提が崩れている

――「メンフリ」のようなイベントが増えている一方で、「一般視聴者のテレビ離れ」が加速し続けているように思えます。作り手としてはこの状況をどのように見えているのでしょうか?

鈴木:自然なことじゃないかと思っています。一時期はBSやCSなどのチャンネルが増えて「視聴率が分散した」という話もありましたけど、さらにインターネットなどの別の環境が整備されて、それに対応した機器も増えているわけですから。前回もお話しましたが、テレビに限らずイベントなんかも選択肢はどんどん増えています。これは悪いことじゃないでしょう。

――そのような状況を踏まえたうえで、放送作家としては今後どのような番組作りをお考えですか?

鈴木:以前なら、「一般の人たちのほとんどがテレビ視聴者である」という大前提があって、チャンネル間でそのパイを取り合っていました。その状況なら、単純に他のチャンネルより面白い番組を作れば見てもらえたわけです。でも、最近の若い人は、もうテレビの前に座らなくなっています。それどころか、パソコンやスマホは持っているけどテレビは持ってない!なんて、割と普通だったりしますよね。そういう人たちに、「何とかテレビの前に座ってもらう」「とりあえずテレビを買ってきてもらう」っていうのは、ハードルが高過ぎるわけですよ。だからそこを追及してもあまり意味はないのかなって考えています。

■ 若者を視聴者層として「意識しない」は言い過ぎかもしれませんけど、そこがメーンにならなくてもいいのかなと

――若者を視聴者層として意識しないということでしょうか?

鈴木:「意識しない」というのは言い過ぎかもしれませんけど、そこがメーンにならなくてもいいのかなと。今年3月に「新企画〜渾身の企画と発想の手の内すべて見せます〜」(幻冬舎)という著書を発刊しました。この中に、「50キュン〜GOJUKYUN」という企画を載せました。50代のキュン!とする恋愛をオムニバス形式のドラマで見せる恋愛再現バラエティーという企画だったのですが、これが番組としてオンエアされることになったんです(※10月11日に関西テレビ・フジテレビ系にて放送された「ラブドラマバラエティー 50キュン恋愛物語))。エンターテインメント界で活躍されているとんねるずさんやダウンタウンさん、ウッチャンナンチャンさんって、もう50歳を過ぎていらっしゃいます。桑田佳祐さんなんかは60代ですよ。それでも第一線にいて、ものすごくパワフルですよね。一般の人たちにしても今の50代、60代って全然元気じゃないですか。そういう元気な大人たちに向けて発信しようというドラマになっています。出る人も、見る人も大人…という。

――キャストも50代が勢ぞろい?

鈴木:もともと「50歳以上の人たちでもまだまだ恋愛でキュン!とするんだ」という現実を踏まえたうえで考えた企画ですからね。加来千賀子さん、有森也実さん、石黒賢さん他、豪華なキャストに出演していただけることになりました。テレビドラマが元気だった時代を彩った方々です。このキャストだけでも楽しみですよね。大人が楽しんでいるものに若者が興味を示すことは珍しくないですし、そういう意味ではこのドラマも意外と若い人たちに刺さるかもしれません。

――なるほど。前回のインタビューで「お客さんが外のイベントに行く時代になった」とおっしゃっていましたが、元気な熟年層向けの「メンフリ」のような企画もありえると?

鈴木:う〜ん、それはどうでしょうね。もちろん、若くてカッコいい男の子が好きな人はいるでしょうけど、大勢の大人の女性がそこに集まるかと聞かれれば、正直、微妙かなと。むしろ、彼女たちが青春時代を費やした何かを再現してあげたほうが盛り上がる気はします。「ジュリアナ東京、復活!」とかね(笑)。