作新学院の高校野球全国制覇に沸いた八月。甲子園ほどには目立たないが、県内には異なる舞台で素晴らしい歴史を刻んだ高校生がいる。同七日、秋田県で開かれたソーラーカーの大会で、栃木県立矢板高校の機械技術研究部がジュニアクラス八連覇を達成した。十月以降もガソリンやバッテリーのエコ走行を競う大会を控え、日々、手作業で緻密な車両製作に励む。 (吉岡潤)

 出場したのは「2016ワールド・グリーン・チャレンジ」のソーラーバイシクル(太陽電池を搭載した二輪以上の車両)による耐久ラリー。五時間で一周二十五キロのコースをいかに多く周回できるかを競い、社会人や大学生のチームも抑えて総合優勝した。

 この大会では二〇〇八年の初優勝以来、一度の中止をはさみ、ジュニアクラスで負け知らず、うち七回は総合でもトップ。となると連覇の重圧も当然あって、山本享迪(たかみち)部長(機械科三年)は「大会前はしゃべれなくなった。レースが始まって三十分くらいで落ち着いて、最後はまた緊張した。ほっとした」と笑顔で振り返った。

 同部生みの親は、渡辺博教諭(53)。車やオートバイが好きで、一九九五年、同校に赴任した際、「新しいことを」という当時の校長の意を受けて同好会を立ち上げた。ガソリンの燃費を競う車から始め、電気自動車、ソーラーへと対象を広げた。三分野で県内外の高校と競い合い、いずれも大会制覇を成し遂げた。

 渡辺教諭は「ものづくり」に取り組む姿勢として「失敗を恐れるな。なぜ失敗したかを考え、生かしなさい」と説く。「三年間は人生の通過点。ここでの体験を自信にして社会に出て行ってほしい」

 最初に工具の使い方を徹底して教える。生徒はけがと無縁という。毎年、手作業で新しい車両を一〜二台製作する。先輩が残した車両やデータはあるが、一から作り上げることで新しい発見があり、うまくいかなければ自分なりに解決方法を考えられるからだ。「かりに50%の車しかできなくても、性能を100%生かす走りを考えればいい」

 塩谷町から通う山本部長は七歳上の兄も同部OB。「この部に入りたくて矢板高へ来た。作業は予想以上に繊細だった。ねじ一本の締め方が記録に跳ね返る」。卒業後は自動車板金業に進む予定で「経験は必ず生きると思う」と話す。

 次のレースは、十月一〜二日、茂木町のツインリンクもてぎで開かれる「Hondaエコマイレッジチャレンジ全国大会」。一リッターのガソリンでどれだけ走れるかを競う。ものづくりに生涯をかけた故本田宗一郎さんの名前を冠にいただく、矢板高機械技術研究部にとって原点の大会だ。