すっかり市民権を得た立ち飲み。その中でも、ずば抜けて人気の高い各地の“レジェンド店”をご紹介。立ち飲みだけに、予約をとっていないことも多く、行けばすぐに入れるのも魅力。 “これを食べなきゃ、その店は語れない”という看板メニューはもちろん、期待の新メニューも一緒に紹介する。


美味しい和食を日本酒とちょっとずつ『三ぶん』

黒板に並ぶのはその日仕入れた鮮度のいい魚や仕込みに腕を振るった料理、自家製の塩辛、添えられた調味料も自家製という。店主金子浩司さんのこの仕事ぶりに惚れ込んで、週に2〜3回は通う常連が後を絶たないというのも納得だ。

クエやトラフグなど高級魚もバンバン使うが、価格はいたって気軽。「炙り」を「刺身」に変えるなどリクエストがあれば柔軟に対応してくれるのもうれしい。最近は和だけでなくポークリエットなどの秀逸な洋風つまみも登場。これがまた日本酒を誘うのだ。


【ド定番】「壱岐産クエ炙り」¥700。産地直送だからクエのような高級魚もこの価格で提供できる。熟成させて余分な水分を抜き、まるで生ハムのように味が凝縮


清潔さが漂う店内はいつもお客さんでいっぱい


渋谷の大人の居酒屋は福島の隠れ酒の宝庫『立呑み なぎ』

渋谷・道玄坂の百軒店(ひゃっけんだな)というちょっとディープな場所にあるが、クールな日本酒バーといった風情。メニューを見れば「本日の刺身」や「ぬた」「和牛のたたき」など正統派なあてが並ぶ。

店主の甲田 力さんはフレンチのソムリエなどを経て、気軽に日本酒を飲んでほしいと立ち飲みを始めた。縁あって日本酒はオール福島。全国で3番目に酒蔵が多い土地だけに、産地から直送する酒は小さな蔵から若い杜氏のものまで、東京では希少な銘柄が多く、一期一会の出合いがある。


【ド定番】「イワシのなめろう」¥400。刺身で食べられるイワシを使い、食感を残して粗く刻んでいる。自家製のまろやかな玉味噌で和えて薬味もたっぷり加えている


一番外側はテラスのような趣もあり。毎晩、日本酒好きが揃う


ちょい飲みでは済まない。居心地よさとクオリティ『角打ワイン 利三郎』

押上界隈にワイン文化を根付かせた名店『遠藤利三郎商店』が手がけるワインバー。店先でちょい飲みするという意味合いの「角打」を看板に掲げるが、楽に寄りかかれるクッション付きカウンターのせいで、つい長居してしまう。

ワインはソムリエに聞くもよし、「アロマティック」「スパイシー」などタイプ別に10種並ぶ早分かりの黒板から選ぶもよし。料理もグラスワインもオール¥500。とはいえ、料理長とソムリエが本店と兼任しているのでクオリティの高さは言わずもがな。


【ド定番】「田中肉屋さんのお肉のパテ」¥500。地元の精肉店から仕入れる牛肉や豚肉、レバーを使用した墨田区認定ブランドの人気メニュー。しっとりした口当たりで食べ応え十分


赤を基調とした立ち飲みらしからぬ雰囲気。デートにもおすすめ


立ち飲み黎明期から続く名店がまだまだ続々!

地元人気店はおひとり様にも優しい『日本酒専門店 采』

三軒茶屋の通称「三角地帯」にあるここは、大衆酒場のような渋い雰囲気が人気の立ち飲み。素材ありきの料理はシンプルだが、それだけに丁寧に作られていてどれも満足度は高い。通が喜びそうな造りのしっかりした日本酒は一律500円。おつまみは250円〜と、たらふく飲んで食べても安心価格だ。

ひとりでふらりと通う人が多いため、おひとりさま限定で「前菜盛り合わせ」を用意している。お通しがお粥で、飲む前に温かいものを少しだけお腹に入れられるのも気が利いている。


【ド定番】「前菜盛り合わせ」¥800。内容は日替わり6種類。この日はゴーヤのお浸しや鶏のチーズ巻、鯛の昆布〆めなど。ひとり客だけが頼めるメニューだ


立ち飲み激戦区の三茶の中でも高い人気を誇る


ヴァンナチュールとイタリアンベースの魚バル『ビアンカーラ』

井の頭公園駅前にあるヴァンナチュールのワインバー。カウンターは椅子席だが、混んでくると後ろのテーブルやワイン樽に人が集まって、立ち飲みでワイワイ盛り上がる。

店主の小平尚典さんがセレクトするのは飲んでリラックスできるワインが中心。海外はもとより国産の希少なボトルもちらほら見かける、壁一面に飾られたワインボトルがリスト代わりだ。イタリアンがベースの料理は、魚介が主役だが肉も野菜もバラエティ豊富。しっかり食べて飲めるビストロ使いができる店だ。


【ド定番】「名物・炙りしめ鯖とポテトのソテー」¥980。相性バッチリの鯖とジャガイモをイタリアンな一皿に仕上げている。自家製のしめ鯖を使うところがポイントに


立ち飲みらしい、ライトな雰囲気。近隣の人が訪れることも多く、常に賑わう


モダン角打ちの殿堂もますます進化中『スタンドバー・マル』

立ち飲みを始めて28年目。酒屋の角打ちながらモダンな雰囲気で、ワイン好きにも日本酒好きにも愛されている。当初は自慢の刺身と生ハムなどの簡単な洋風つまみからスタートしたというが、長年の間にどんどんメニューは進化している。

現在は和食出身の料理長が厨房を預かるだけに、手の込んだ和食のメニューが登場する。カウンターに並ぶ美味しそうな大皿のお惣菜10品も圧巻だが、その他のメニューも充実。持ち込み料を払えば、隣接の酒屋で好みのお酒を買って飲むこともできる。


【ド定番】「気仙沼産カツオのたたき」¥380。筑地から仕入れる品質のいい魚介を使った刺身が定番。秋は身が肥えてますます美味しくなった戻りガツオを


この看板が特徴的。このお店にお世話になった方も多いのでは?