『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』と『一流の育て方』(ミセス・パンプキンとの共著)が合わせて21万部突破の大ベストセラーになった「グローバルエリート」ことムーギー・キム氏。彼が2年半の歳月をかけて完全に書き下ろした最新刊『最強の働き方――世界中の上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んだ77の教訓』が発売と同時に5万部を超えるベストセラーになっている。

本連載では、「最強の働き方〜仕事のIQを高めよ」をテーマに、キム氏が「世界中の上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んだ『最強の働き方』」を紹介していく。





東洋経済オンライン


「ムーギーさん、執筆に2年半もかかりましたが、ようやく完成しましたね。苦労しましたが、『世界中の上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んだ最強の働き方』という切り口でまとめたので、類書のない画期的なビジネス書になったと思います」

これはついに完成した新著『最強の働き方――世界中の上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んだ77の教訓』を前に、グローバルエリート2.0ことわたくしムーギー・キムと、東洋経済の担当編集者の中里有吾氏との間で交わされた一言である。

2年半前、私の連載「グローバルエリートは見た!」は「グローバルエリートよ永遠に」を最終回とし、「野生動物のゲーム・ハンティングを止めよ!」という謎の声明文を出して終了した。私はその後、本業のかたわら、2年半の歳月をかけて世界30カ国を飛び回りながら、密かに1冊の本を書き上げてきたのだ。

私が全精力を注ぎ込んでついに完成した新刊が、ようやく発売の日を迎えた。それを記念し、「最強の働き方」をテーマに、私がさまざまなグローバル・キャリアの中で優秀な上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んできた「誰にでも実践できる、仕事能力を大きく左右する教訓」を紹介していきたい。

記念すべき第1回目は、すべてのビジネスパーソンの基本中の基本編、「メモ取りの奥義」について、本書の一部をお届けしたいと思う。


一流のメモは見る人に「安心感」を与える

「この人、すっごい勢いでメモっとるな……」

私がこれまで見てきた中で痛感するのは、若手時代から仕事のできる人ほど、とにもかくにもメモをとるスピードが速いということだ。


できる人ほど、鉄壁のメモとり魔

メモを完璧にとることは、仕事の安心感と信頼性を高めるうえで絶大な効果を発揮する。

そもそもお客さんに満足してもらうためには相手が話していたことを完全に把握しておくことが基本だ。また、上司に喜んでもらうためには、自分が指示されたことを漏れなく把握しておく必要がある。

仕事ができて信頼される人というのは、「この人に任せておけば、言ったことは正確に理解され、漏れなく実行してもらえる」という安心感を与えるものだ。

伝説の経営者、ジャック・ウェルチが語る経営の基本は、情報の徹底した共有と、やると言ったことを実行することだが、議論が共有され、実行されるという安心感の基本にあるのが、「この人は聞き逃さず、きちんとメモをとっている」と思わせるメモとり力である。

上司やお客さんと会話をするときは、とにかく必死にメモをとろう。そして、「一言も聞き逃さないように万全を期しています、あなたの発言すべてが大切です」というメッセージを送ろう。

もちろん、それをあからさまにやりすぎると、意図が見え見えであざとくなってしまう。しかしそれでも、赤坂や六本木のクラブの売れっ子ナンバーワンの女性並みに、自然さの演出に細心の注意を払って、「いまのお話、面白すぎるからメモをとらせてください」などとやると、その驚きの効果に、文字通り驚かれることであろう。


どうでもいい内容でも、メモをとりながら聞くことで「こんな与太話も尊重してくれている」とあなたの可愛げが何倍にも増すからである。

私も部下ができる年齢になって感じることだが、メモをまったくとらない部下ほど憎らしい生き物は世の中に存在しない。「メモをとらない」ないし「穴だらけの適当なメモを書く」部下ほど憎たらしい存在はいないし、そんなメモを書いていると「仕事への真摯な姿勢」そのものが疑われかねない。

メモひとつにも仕事への姿勢全般、とくに「漏れのない、鉄壁の注意力」があらわれることを肝に銘じよう。


「凄すぎるメモ」はどう書けばいい?

では、どうすれば「凄すぎるメモ」をとれるのか。まず意識するのは、「漏れのなさ」である。

会議に参加するときは、衆議院本会議の速記者も震え上がるくらい、猛スピードで会議のすべてをメモに残そう。あるいは、「オリンパスの最新製品もビックリな高性能音声レコーダー」と「その音声データを文字起こしする最新のソフトウェア」になったつもりで、すべての情報を紙上に再現しようではないか。

もちろん、次に書くような「一流のメモ」をとるのが理想だ。しかし、その前にそもそも重要なポイントが抜けていない「漏れのなさ」がメモの基本で、そこに「仕事能力の万事」があらわれるのである。


一流のメモは「常にピラミッド構造」

もうひとつ、どんな企業でもさっさと出世していく一流の人材に共通するのは、メモをとるとき、たんに書き殴るのではなく、整然とした論理構造でメモを仕上げていくことだ。「この人のメモ、すっごいスピードで書いていたのに、完璧なピラミッド構造やな……」と感心することが非常に多い。

たとえばコンサルタントは論理的に説明するのが仕事なので、基本的には論理的に整理する習慣がついている人が多い。その中でも特別論理思考に長けている人は、それはそれはすごいスピードで情報を整理していく。

私が感心することの多いベイン・アンド・カンパニーのとあるコンサルタントは、どんなミーティングでも、「そんなに私、メモをとりまくらなければならないほど、ありがたい話をしていたかしら?」と思うほど、熱心にメモをとる。

そのメモの中をちら見すると、方向性の定まらない、行ったり来たりしている私の話を、ものの見事に構造化しながら、「完璧なピラミッド構造」で情報を再編してメモに落とし込んでいるのだ。

私がダラダラとわけのわからない話をしていても、それを聞きながら情報をマトリクス形式で整理していく。私が時に自分自身でもよくわかっていないが言おうとしていることの本質を把握し、情報をすぐ引き出せるように「ピラミッド構造」にきれいに整理してしまうのだ。

一流のメモは、それをワードに起こすだけでそのままミーティングメモとして通用するし、そのピラミッド構造に整理されたメモを部下に渡すだけで、立派なパワーポイントスライドに変換することも可能である。

結果的にミーティングの時間が無駄にならず、ミーティングが終わるころには話の要点とネクスト・ステップがまとめられていて、見事なミーティングメモが出来上がっている。


私なら、入社試験に「メモ」を課す

どんな仕事でも、とくに若いころはメモをとる役割が多く、会議が多い会社だとメモをとってそれを議事録に落としているだけで日が暮れることもある。だからこそ、ひとつひとつのメモの論理性を高め、チームの生産性向上に貢献することが重要なのだ。


吉村作治教授も認めるメモを!

さあ、これからメモをとるときは、3000年前のツタンカーメンを思い出そう。

目を閉じればそこにクレオパトラが、そしてノートに目を落とせば最大のピラミッドの主である、クフ王がそっと微笑んでいる。「そなたのメモで、わがピラミッドを超えてみよ」と、歴代エジプト王があなたに語りかけているのだ。

考古学者の吉村作治教授が発掘に来ても「たしかにピラミッドです」と太鼓判を押してくれるような、見事なピラミッド状の構造的なメモをとるように心がけようではないか。

「漏れのないメモ」という一事に、その人の注意深さや集中力の万事があらわれる。そして、メモの「ピラミッド構造」ひとつに、その人の「論理的思考能力のスピード」が見事にあらわれるのだ。

なお私が、学歴や頭のIQではなく、本当に仕事に必要な「仕事のIQ」が高いビジネスパーソンを採用しようとするならば、入社試験でつまらないSPIなど絶対に課さない。

代わりに、ビジネスディスカッションや講演を会場で提供し、それのメモを参加者に書いてもらって提出してもらうだろう。その人が本当に仕事ができるのかどうか、「仕事のIQ」の万事がメモひとつに表れるからである。

さあ、我々の「最強の働き方」を巡る旅路が今、始まった。「学歴や頭のIQと、仕事能力は関係ない! コレができなければ永遠に二流!」という本書のコンセプトにしたがって、様々な国、様々な産業の一流のプロフェッショナルが重視している、超実践的な教訓の数々をともに学んでいきたいと思う。


『最強の働き方――世界中の上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んだ77の教訓』

ムーギー・キム氏が2年半かけて書き下ろした「働き方」の教科書。一流の「基本」「自己管理」「心構え」「リーダーシップ」「自己実現」すべてが、この1冊で学べます。


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