「学歴・頭のIQ」で、「仕事能力」は判断できない。仕事ができるかどうかは、「仕事のIQ」にかかっている。

『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』と『一流の育て方』(ミセス・パンプキンとの共著)が合わせて21万部突破の大ベストセラーになった「グローバルエリート」ことムーギー・キム氏。

彼が2年半の歳月をかけて「仕事のIQの高め方」について完全に書き下ろした最新刊『最強の働き方――世界中の上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んだ77の教訓』が、発売と同時に5万部を超えるベストセラーになっている。

本記事では、ムーギー氏が「世界中の上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んだ教訓」の数々を、『最強の働き方』を再編集して紹介する。





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その「服装」で損していませんか?

「その靴、スーツに似合ってないから、きちんとしたスーツ用の靴に替えてくれる? あとシャツにシワが目立つから、絶対にクリーニング屋でアイロンをかけて」

これは私が新入社員のときに、MBAを取得したてのアソシエイトの先輩に注意された事柄である。当時は「そのくらい、ええやないか!」と反発心を覚えたものだが、それから時は流れてはや15年。そのアソシエイトの先輩が口を酸っぱくして言っていた「服装の大切さ」が、今では身に染みてよくわかる。

私が見てきた一流の人たちは、TPOに応じて、実にファッションに気を使う。別にそこまでしなくてもいい気もするが、なかにはトータルファッションコーディネーターを雇っている人も身近にいた。

これに対しデキない二流の人は、自分の服装で他人に不快感を与えるのが大得意である。

別にその人の胸毛なんか見たくないのにシャツのボタンを首から2つくらいはずしていたり、単なる身内の同窓会なのに、何のコンプレックスの裏返しか、全身をエルメスで包んで参上したりするのだ。

頭が良くて学歴も高いのに、服装で損をしている二流の人は驚くほど多い。服装も「一事が万事」で、服装への気遣いの有無に「仕事のIQ」が如実に表れるのだ。

では、服装によって「デキない二流の人」のどんな欠点がバレるのか。「一流と二流の差」はどこにあるのか。なんといっても「一流の服装の秘訣」とあわせて早速、紹介しよう。


その服装、自分を「客観的に」見てますか?

服装でバレる「デキない二流の人の欠点」のひとつ目は、「自分を客観的に見られていない」ということだ。


「自己認識能力」と「自己規律」がバレる

①「自分を客観的に見られているか」が出る

まず忘れてはならない大前提は、服装は、あなたが「自分を客観的にどのくらい見ることができているか」という自己認識能力の度合いを表すということである。

たとえば私が目撃した事例では、ローンを組んでもらうための銀行との打ち合わせに、ド派手な太いストライプのスーツにサスペンダー、クレリックシャツ、華美なゴールドのカフスボタンで現れた投資家がいた。

まさに「誰がお前なんかにカネ、貸すか!」という感じの服装だったわけだが、対銀行とのミーティングでは「堅実・誠実・控え目」が求められるのに、そのビジネスマナーとTPOにまったくそぐわない姿で、ミーティングが始まる前から大いなる悪印象を与えていたのだ。

ほかにも、転職してきて早々、職場に、シャツのボタンを上の2つどころか、3つ目くらいまで開けて出社してきた人もいた。その人は胸毛がたくましく、朝のミーティング時から、まわりの人はつねにその人の胸毛を目撃するはめとなったのだ。

これらの服装は、「単に服装のセンスがない」だけの問題にとどまらない本質的な問題をはらんでいる。

それは、「そのミーティングがどんな種類のもので」「相手のビジネスカルチャーがどんなものか」を理解しておらず、自分の服装がどんなメッセージをもって受け止められるのか、まさに自分を客観的に見られていない証拠にほかならないのだ。


②「自己規律の低さ」が出る

もうひとつ、服装によってバレるのは、あなたの「自己規律の低さ」だ。

ヨレヨレのスーツ、パンツのシワにしても、それは単なる服装の問題を超えて、「私はだらしない、アカン人です」という強力なメッセージを四方八方に放っている。

それに、少し考えてみるとすぐわかることだが、服装のサイズがコロコロ変わる人というのは、当然のことながら、体型がコロコロ変わっていることにほかならない。

逆に、ひとつの服を長く着続けられるということは、それだけ体型を日々、維持できているということである。

成功している一流のビジネスパーソンには、むやみやたらとカネを投じるのではなく、いいもの、自分に合っている質の高いものを厳選し、10年も20年も長期間愛用している人が実に多い。

長い年月がたっても体重が増減せず、体型を維持して、同サイズの服を着つづけられることは、単なる服装にとどまらない、「自分の規律の高さ」もあらわしているのだ。

かといって、私のようにXXLのサイズを15年間保って服のサイズが変わらないことは、「自己規律の低さ」の表れなので、間違っても真似をしてはいけないことは言うまでもないだろう。


大金持ちが1,000円の腕時計をする理由は?

服装によってバレる3つめの要素は、その人が「物事の機微がわかる人かどうか」ということだ。


一流の人は「お客さんに合わせた服装」をする

③「物事の機微がわかる人か」も出る

私が出会った一流のビジネスリーダーの中には、年収5億円、個人資産30億円クラスのエリートも少なからずいた。

彼らは大金持ちにもかかわらず、結構安そうな時計をはめ、つつましやかなダークブルーのスーツを身にまとってミーティングに出てくることがよくあった。逆に、たいしたことのない二流の人に限って、300万円くらいしそうなギラギラのロレックスをはめていたものだ。

なぜエリートの中でも優秀な人に限って、1,000円の腕時計をはめるのか。

それは、お客さんの投資家に会うときに、「そんなにいい生活はしていません、無駄遣いはしていません」という堅実なイメージを送るためである。

保守的で控えめな日本の銀行員と会うときには、それまで着ていたギーブスアンドホークスのジャケットから、わざわざAOKIのスーツに着替える人さえいた。

これは日ごろベンツのSL600に乗っている政治家が、選挙の前と後援会回りのときにだけ、自転車や中古のホンダのシビックに乗り換えるのと同じ理由といえる。

そういう「物事の機微」がわからない二流の人に限って、ピカピカのシルバースーツにギラギラの時計、華美なサスペンダーで着飾り、スイートルームのような社長室を構えては悦に入っているが、日本の保守的なビジネス相手からは内心呆れ返られており、それだけで信頼を失っているのだ。

大成功するにつれて質素な服装を好むのは、アップルのスティーブ・ジョブズがその筆頭だろう。それは「着るもので悩む時間がもったいないから」という説もあるが、「ブランドに頼らなくても自分自身がブランドだ」という強烈な自己顕示欲と自信の裏返しでもあるのだろう。その点でも、他人がつくったブランドの力にいつまでも依存する二流の人とは大違いである。


では「一流の服装」3つの秘訣は?

では、「一流の人に学ぶ服装の秘訣」は何なのか。以下、ポイントを3つに絞って紹介しよう。


「豪華な装飾品」に酔いしれるのは二流の人だけ

①出世するほど「清潔+質素」が基本。腕時計は要注意

先述したように、一流の大金持ちでも、職場やお客さんに会うときは「清潔だが質素な身なり」で臨む人は多い。スーツは多少いいものを着ていても、アクセサリーや時計はあえて簡素なものをしている人は少なくない。

お客さんに会うのに、豪華な腕時計を見せびらかすようにつけて喜んでいる人がいたとすれば、これはまさに救いようのない二流の人だ。

「その時計を買うおカネは、元をたどれば誰が払ったものなのか」「お客さんが自分の商品を買ってくださったおカネではないのか」という当然のことに考えが及ばない人に、お客さんのハートをつかめるはずがないのだ。

私は時計メーカーに恨みがあるわけではないが、「腕時計不要論」を唱えてかれこれ20年のベテランである。腕時計は重いし、毎朝どこにあるのか探さなければならないし、水泳中にジムのロッカーから盗まれることもある。

なにより、あの圧迫感がストレス満載で、携帯電話でいつでも時間を確認できるこのご時世、腕時計が果たす役割は、極論すると「ファッション」か「見栄え」かのいずれかではなかろうか。

ファッションの一環としてたしなむのであればまだ個人の自由だが、豪華な腕時計を職場にはめてきて、心のどこかに「これで自分をアピールしよう」というあさましい考えがあったとするならば、深く反省しなければならない。

腕時計で年収や社会的地位を値踏みするのは、私をすっかりカモにしている、六本木のクラブのお姉さんたちだけだと断言しよう。


②自分に合った高品質のものを買い、長期間使う

親愛なる読者の皆様もぜひ、次のスーツや靴、カバンを買う際は、20年後も立派に使える愛用品になるものを大切に選んでみよう。

これも驚きの共通点だが、一流のビジネスパーソンには往々にして、太古の昔から使いつづけている愛用品があるものだ。

スーツを聞けば、やれ20年着続けている、カバンを見れば、やれ30年使い続けている、靴を聞けば、もう生まれた時から同じ靴を履いている、と言わんばかりの使い込みようである。

「一流の人には長期間の愛用しているものがある」ということには、3つの「本質的なメッセージ」が含まれている。

1つ目は「自分に合うものをわかっていて、自分を深く理解している」こと、2つ目は「長く使い続けることで、代替品のない『さまざまな思い出』をまとうようになっている」こと、そして最も本質的なメッセージは「自分に合ったいいものを大切に扱い、長い間愛用することは、長期的な人間関係も大切にするという隠れたメッセージを相手に与えることになる」ということだ。


社交パーティーの服装は?

最後に、もし社交パーティーや仮装パーティーに招かれたときは、そこでは盛大にドレスアップするべきだという点も強調しておこう。


パーティーの服装は「巨大インドクジャク」のつもりで

③TPOをわきまえ、「正装するときは思い切り」が原則

INSEAD留学中にフランスにいたとき、パーティーの頻度とそのドレスアップにかける一流の人の情熱にはホトホト感心したものだ。いざパーティーをするとなると、そこでは皆、完璧なタキシードとパーティードレスで、ドレスアップを競っていた。

社交パーティーのない国から来た人に限って、タキシードを買いに行くのを面倒くさがり、「このスーツも高いねんから!」とビジネススーツで突進するが、それはそれは貧相に見えたものだ。すれ違う友人にも「お前はなぜタキシードを着ていないのだ?」と尋ねられ、それはそれは恥ずかしい思いをするのである。

日頃はカジュアルなジーンズにダサいセーターを着ているクラスメートも、パーティーでドレスアップすると、その落差でまさに目を見張るほどの変貌を遂げる。人は最もフォーマルな衣装を着たとき、そこにはオーラを競う戦いが展開されているのだ。

この手のパーティーがあるたびに新カップルがちらほら誕生するが、ドレスアップしたときの変貌ぶりを見ると、それもうなずける。

グローバルエリートたちがドレスアップするときの衣装合戦は、あたかも発情期のクジャクがきれいな羽を大きく広げて優劣を競う様子を見るようだ。

社交パーティーや仮装パーティーに招かれたときは、自分のことを「世界でいちばん立派な巨大インドクジャク」だと思おう。そして自分のオーラレベルを最大化してくれるタキシードを厳選し、仕事以上の真剣勝負でのぞもうではないか。

本記事で指摘してきたように、服装が発信する「あなた自身に関する情報」はことのほか膨大である。

「自分を客観的に見られているか」「高い自己規律があるか」「清潔さ」「謙虚さ」に加えて「ひとつのモノ、ひとつの人間関係を長らく大切にする人かどうか」まで、服装によって多くのことが(もちろん100%の精度ではないが)相手にバレてしまうことをくれぐれも忘れてはいけない。


『最強の働き方――世界中の上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んだ77の教訓』

ムーギー・キム氏が2年半かけて書き下ろした「働き方」の教科書。一流の「基本」「自己管理」「心構え」「リーダーシップ」「自己実現」すべてが、この1冊で学べます。


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