「学歴・頭のIQ」で、「仕事能力」は判断できない。仕事ができるかどうかは、「仕事のIQ」にかかっている。

『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』と『一流の育て方』(ミセス・パンプキンとの共著)が合わせて21万部突破の大ベストセラーになった「グローバルエリート」ことムーギー・キム氏。

彼が2年半の歳月をかけて「仕事のIQの高め方」について完全に書き下ろした最新刊『最強の働き方――世界中の上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んだ77の教訓』が、発売と同時に5万部を超えるベストセラーになっている。

本記事では、ムーギー氏が「世界中の上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んだ教訓」の数々を、『最強の働き方』を再編集して紹介する。





東洋経済オンライン


「やっすそうな時計、そして、ぼっろい車やなー!!」

一流のビジネスパーソンは、スーツや靴にはおカネをかけても、腕時計や乗っている自動車は極端に古く、ボロいことが少なくない。

彼ら彼女らは仕事がデキるだけに、あえて安っぽい時計をしていたり、安っぽい車に乗っていることが、逆に「高度なはずしのテクニック」が炸裂したかのようなカッコよさを醸し出す。

一方、二流の人に限って、「なんで、そんな立派な時計やアクセサリーを、わざわざ職場にしてくるのかな……」と思うようなピカピカのロレックスの腕時計を見せびらかすようにつけて来たり、お客さんのところに自慢気に高級車で出かけたりする。

一事が万事で、仕事がデキるかどうかの「仕事のIQ」は、持ち物ひとつに如実に表れてしまうものだ。しかも、重要なポイントは、「一流の持ち物」選びには、「その人がおカネ持ちかどうか」は関係ないという厳然たる事実である。

おカネ持ちの中にも、腕時計や自動車、アクセサリーで「自分の二流っぷり」を見せびらかしている「困った人」は大勢いる。その一方で、年収5億円の人の中にも、あえて職場には1000円の腕時計をはめてくるような人も実在する。

では、「おカネの有無」で決まらないとすれば、いったい「一流と二流の人の持ち物」は何が違うのか? たかが持ち物ひとつで、「二流の人のどんな恥ずかしい欠点」がバレてしまうのか?

私の尊敬する、年収数億円なのにガラケーを使いつづけ、ボロい車に乗りつづけている先輩の「教訓」とあわせて紹介しよう。


年収数億円で「ガラケー」の理由は?

私が尊敬する年収数億円の先輩は、毎年モデルチェンジされるアイフォーンやサムスンの最新機種には見向きもしない。それこそジュラ紀か白亜紀に発売されたような、カラースクリーンでさえない「ガラケー」を、これでもかというほど使い倒しているのだ。


まさに「携帯業界のブロントサウルス」

彼の携帯は、もはや音が出るのも不思議、着信や発信ができるのも奇跡に思えるほどで、ボタンの文字もすべて剥げ落ちている。サイズも桁外れに大きく、「携帯業界のブロントサウルス」とでもいうべき太古の携帯電話だ。

「そのガラケー、一刻も早く大英博物館に展示すべきでは?」と思うほど希少種と化しているわけだが、その先輩はそれでも買い替えようとしない。

「なぜ、そんな携帯を使いつづけているんですか?」と聞いたところ、先輩からこんな答えが返ってきた。


①自分に必要なものを知る:「自分なりの哲学・信念」があるか

「自分は携帯は音声通話しか使わないし、資源を無駄にしたくないから」

そんな「個人の哲学」に由来するというのだ。おカネは十分あるのに「これで十分だし」「他人に流されて無駄な買い物をして、資源を無駄にしたくない」というのがその先輩の信念なのだという。

これに対し、二流のビジネスパーソンの中には、まだまだ使えるどころか、まだ使いこなせてもいないスマホを、携帯各社のマーケティングと「新しいモデルを買い揃えたい」というミーハー魂に踊らされて、毎年買い換えつづけている人も少なくない。

そういう二流の携帯ユーザーと比較したとき、「個人の哲学」「自分なりの信念」にそって生きているという意味で、ある種見上げたポリシーではないか。

その購買行動に如実にあらわれる「他人が買おうと、自分にいらないものはいらない」という主体性・価値判断基準・行動力の違いに、一流の一流たる「独立自尊の美学」を感じるのである。


②買い物も“バリュー投資”:「自分で価値を判断する主体性」があるか

この先輩の自家用車は、なんと中古のシビック。

これもボロいガラケーと同じで、「自分が自動車に対して求めているのは『見栄』や『豪華さ』ではなく、たんに『安価で経済的に自分を運ぶ手段』なんだ」という。

ちなみに「大金持ちなのに乗っている車はボロい」というのは、世界有数の大投資家、ウォーレン・バフェット氏も同様である。

安い値段のわりによい性能というのは、氏の「バリュー投資」という哲学が、生活の隅々まで浸透していることを象徴しているのであろうか。

何も私は、別にボロい携帯を使いつづけること、古い中古車に乗りつづけることが一流の証だと言っているわけではない。

重要なポイントは、「まわりが欲しがるから、買っているから」という周囲に流された生き方ではなく、「自分の価値観に基づき主体的に決断を下しているかどうか」があなたの持ち物ひとつにあらわれるということなのだ。


仕事がデキる人ほど「おカネにシビア」?

ほかにも、持ち物によってバレるのは、そもそもあなたがビジネスパーソンとして「周囲への配慮」と「まともな金銭感覚」の持ち主かどうかだ。


職場に「見栄っ張りなウザい人」いませんか?

③「周囲への配慮」があるか

「服装」でも同じことだが、一流の人ほど、職場や商談では、スーツは多少いいものを着ていても、アクセサリーや時計はあえて簡素なものをしてのぞむものだ。

たまに、職場や商談の場で、豪華な腕時計を見せびらかすようにつけて喜んでいる人がいるが、これこそ救いようのない見栄っ張りの典型である。

同じ職場でも、働く人の中には、アルバイトの人もいれば、契約社員の人もいる。契約形態によって給料は当然異なるし、同じ正社員でも、成績によって給料に大きな差があるケースは少なくないだろう。

そんな「有象無象の人が集まる職場」に、腕時計やアクセサリーをはじめとした豪華な持ち物を身につけてくるとしたら、「私はこんなに高価なものを買えるんだ」と自慢している「見栄っ張りなウザい人」と思われても仕方ないだろう。

ほかにも、これは個人の価値観にもよるが、私は毛皮のために動物を惨殺する毛皮コートが大嫌いだ。幸い欧米のファッション界には毛皮に反対する潮流があるが、日本のタレントの中には、毛皮をふんだんに使ったファッションをプロデュースしている人さえいる。

こういう人に対して私は「動物の命を何やと思ってるのだ!」といたく憤慨してしまう。毛皮を着るだけで、知らず知らずのうちに他人を内心激怒させてしまうことさえあるのだ。

「職場にはいろんな経済状況、いろんな価値観の人が働いている」という当然のことに考えが及ばない人は、残念ながら「そもそもビジネスパーソンとして周囲への配慮が足りない」と言われてもやむを得ない。


④そもそも「まともな金銭感覚」の持ち主か

もうひとつ大事な点は、たとえあなたが自腹で買った持ち物でも、そのカネ遣いによって、「この人はビジネスパートナーとして『まともな金銭感覚』の持ち主かどうか」を見られているということだ。

「仕事ができ、かつカネ持ちの人に限って、おカネに細かく、厳しい」というのは、多くの一流の人に共通する特徴だ。

私の過去のボスを振り返ってみても、アメリカ人のエリートで数十億円の資産を有している人は恐ろしくおカネに厳しかった。出張でも、ホテルの予算には厳格で、経営者である自分自身でさえ数時間のフライトならエコノミークラスを使い、秘書に毎回、相見積もりまでとらせていた(おまけに3社も!)。

ビジネスで扱うおカネの大半が「自分のおカネ」ではなく「他人のおカネ」「会社のおカネ」だという当たり前の基本を、ビジネスの各場面でこのうえなく厳しく順守しているといえる。

これは、ファーストクラスで無意味な「視察」という名の大名旅行を繰り広げる、全国の国会議員・地方議員に爪のあかを煎じて飲ませ、そういう人たちには「自分のカネでも同じ使い方をするか」と自問してほしいものである。

あなたの持ち物にかけるおカネを、まわりはきちんと見ている。「決して無駄遣いしない人」と思うからこそ、「会社や他人のおカネを任せても大丈夫」「こいつに任せれば、無駄なおカネは出ていかない」という信頼を得ることができるのだ。


では「一流の持ち物」の秘訣は?

では、一流の人に学ぶ「持ち物の秘訣」は何なのか。以下、ポイントを1つに絞って紹介したい。


①まわりに流されず、「自分にとって価値あるもの」を使い倒す

一流の人ほど「個人の哲学」「自分なりの信念」にしたがって、「自分にとって価値あるもの」とそうでないものを厳しく見極めている。携帯やペンひとつとっても、それは同じだ。

先ほども紹介した伝説の投資王、ウォーレン・バフェットは、まわりが買おうが売ろうが関係なく、自分自身で「価値がある」と信じられる銘柄にだけ投資して成功してきた。これは何も、株式投資のみならず、日々のあらゆるショッピングに共通するウィズダムである。

私は『最強の働き方』の「おわりに」のあいさつで、フィアンセとの結婚宣言をした。全国1000万人の女性ファンから、「どーでも、ええわーー!!」という叫び声が聞こえてきそうだが、いま私が直面しているのは「どんな婚約指輪を買うか」という問題だ。

ダイヤは「カラー」「クラリティ(透明さ)」「カラット」などいくつかの「C」のグレードで大きく値段が変わる。しかし、「カラー」ひとつとっても、素人目にその差はほぼまったくわからない。私が売り場で聞いた店員さんでさえひと目ではわからず、望遠鏡みたいな巨大なレンズを持ち出してきて、「これはFです」などとやっていたほどだ。

もちろん「それでもダイヤモンドの指輪がほしい」という人もいるだろうが、私には、素人目には人工ダイヤとの見分けがますますつきにくくなっている化学化合物の塊に何百万円も出すよりも、はっきり言って質の高いサファイヤのほうが綺麗だと思うし、下手したらうちのおかんが持っている、紫水晶のあんまり高くない指輪のほうがよほど立派に見える。

ここで私が言いたいのは、「他人が『価値がある』と思うものに安易に流されず、自分の絶対的価値観の軸に沿って『必要がない』と思うものには、ビタ一文払わない」という不屈の決意である。


「下町のウォーレン・バフェット」を目指せ!

さあ、私たちも「下町のウォーレン・バフェット」を目指して、まわりがなんと言おうと、「個人の哲学」「自分なりの信念」という「自分なりのモノサシ」にしたがって、「自分にとって価値あるお買い得品」を、個人の愛用品として棺桶に一緒に入れられるまで使い倒そうではないか。

投資も買い物も人生も、他人のマネをすることではなく、自分の軸で判断することがくれぐれも重要である。

腕時計もアクセサリーも自動車も、所詮、たかが「持ち物」である。しかし、その「持ち物」選びひとつに、ビジネスパーソンとしての長所も短所も如実にあらわれてしまうことを忘れてはいけない。

「自分の価値観に合わない持ち物は、たとえおカネがあって、自分以外の全員が買っていても、断固買わない」という決意そのものに、あなたの「哲学」「信念」「主体性」の有無があらわれる。

そして「どんな持ち物を職場に持ってくるか、身につけてくるか」で、あなたの「周囲への配慮」や「まともな金銭感覚」の有無がもろにバレてしまうことを、いつも肝に銘じてほしい。


『最強の働き方――世界中の上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んだ77の教訓』

ムーギー・キム氏が2年半かけて書き下ろした「働き方」の教科書。一流の「基本」「自己管理」「心構え」「リーダーシップ」「自己実現」すべてが、この1冊で学べます。


<関連記事(東洋経済オンライン)>

・ダメな男はジャケットの着こなしを知らない

・頭がいいのに成功しない人は何が問題なのか

・服装でバレる「デキない人」の恥ずべき3欠点