東京都内のハイスペックな男女たち。

大都会東京で生き抜く彼らの恋愛感、そして結婚観は、一体どのようなものなのだろうか?

人生を左右すると言っても過言ではない、結婚という制度。特に都会では、そんな結婚に対するハードルが年々高くなっている。

一筋縄ではいかない、現代の婚活。他人から見れば羨ましい限りの人生を送る東京人の、結婚に対する価値観、その裏に潜む闇、リアルな実情を覗きたくはないだろうか?



「岩」とあだ名をつけられた、不美人の外銀女


紀香、37歳、外資金融のフロントで働いています。独身、恋人もいません。

詳しい職種は伏せますけど、私はセールス職ではありません。外銀は美女揃いなんてよく聞きますけど、実際、全員が美女かというと、そんなこと決してありません。

「岩みたい」

子供時代から、自分がそう陰で囁かれているのを何度か聞いたことがあります。

幼少の頃に水泳を習っていたせいか、浅黒い肌に、がっしりとした肩幅、そして全体的に筋肉質のゴツい身体。一重の瞼は重く、太ってはいないのに、どうしてか頬にはボッテリと肉が付きやすい。

「岩」と言われて傷つく反面、何て上手い表現を思いつくんだろう、なんて、感心した記憶があります。

おまけに、「紀香」というこの名前。「名前負け」という言葉を、私ほど聞いて育った女も珍しいのではないでしょうか。

自分が外見的に劣っている自覚はあったので、必然的に、勉強や習い事を一生懸命こなすことしか、昔から私には選択肢がありませんでした。

幸い、地頭は悪くなかった。地元の千葉では神童扱いされたし、極端な努力をしなくても、一番偏差値の高い県立高校に進み、国立大に入ることが出来ました。


外見にコンプレックスを抱えた女。社会人になると...?

付き合う男は、自分と同じように不器量で、偏屈な男ばかり


就活時期になり、外資金融への道に進んだのは、単純に、収入の魅力が大きかったからです。コツコツとデータを集めたり分析するのは好きでしたし、それで大金を稼げるなら、これ以上の仕事はない。

「外銀は美人が多い」という風潮は気になりましたが、セールスでない私の部署は、容姿は特に関係ありませんでした。

私は、やはり大した苦労もせずに内定をもらい、これで自分の外見に対する引け目も、少しは払拭出来ると安心していました。お金さえ十分にあり、体調にだけ気を付ければ、少なくとも自分の面倒は自分で見れるからです。

言うまでもなく、普通の男性は、私に興味を持ちません。私は外見へのコンプレックスが強すぎて、さらに可愛げのない性格をしています。

お付き合いした男性は何人かいますが、私の恋人になるような男性は、私と同じように不器量な顔をしていて、偏差値だけは高い、偏屈な男ばかりでした。


キツく多忙な仕事は、最高の大義名分だった


外資金融は一般的に、3年目くらいまでが一番辛いと言われています。

とにかく仕事量が多く、それまで優秀だとチヤホヤされてきた人間が、プライドをズタズタに打ち砕かれ、早々にこの業界を去っていくことも多い。女性は特に、体力と精神力が持たずに、ほとんどが数年で辞めてしまいます。

でも私は、ただ仕事に打ち込むだけの生活が、かえって楽でした。

「仕事が楽」という意味ではありません。怒られダメ出しをされることも沢山ありましたし、面倒な上司や同僚だっています。ミスをしたことも、恥ずかしい思いをしたことも、数え切れません。

しかし、「仕事が忙しい」「普通より稼いでいる」という事実は、私が恋人を作らないことへの、最高の大義名分になるんです。

外見で負けている女にとって、それがどれだけ救いになるか、これは当事者にしか、絶対に分からないでしょう。


仕事を手に入れ、平穏な人生を手に入れたと思ったが...?

言わなくても分かるでしょ?婚活市場で、私は負け組


しかし、そんな私の平穏な人生が少しずつ変わったのは、30歳を過ぎてからです。

同僚の男たちが、ほとんど結婚しました。彼らの中には、私と同じように、「稼ぎ」を取ったら何も残らないような男も多い。それなのに、皆が揃って、それはそれは綺麗でお上品な奥さんを手に入れるんです。

それまで一緒に切磋琢磨して頑張って来たはずなのに、彼らは結婚した途端に、「で、お前はどうするの?」と言った、上から目線の態度を取り始めました。世の中不公平としか、言いようがないですね。

同僚だけでなく、大金を稼ぐようになり喜んでいた親ですら、「こんな仕事に進まなかったら、もう紀香は結婚して、子供も産んでいたかも...。」なんて、諦めと同情の入り混じったセリフを口にするようになったんです。

これだけ女性の社会進出が推奨される中、どうして、世間は私を責めるのでしょうか。

外資金融で生き残った数少ない女に向かって、さらに結婚や出産まで求めるなんて、酷すぎるとは思いませんか?

「私だって、できるなら素敵な人と結婚したい。外見も稼ぎも良い男と結婚したいけど、そんな男は、性格も見た目も悪い私に、見向きもしないんです」

世間は、そうやって私が白旗を上げて泣き崩れる姿を、見たいのでしょうか。可哀想な女だと、面白がりたいのでしょうか。

だって、言わなくても分かるでしょう。私が婚活市場で、完全に負け組だということは。


年収は5,000万を超え、マンションもポルシェも買った


でも私は、絶対に泣き崩れたりなんてしないと、今でも自分の人生を突き進んでいます。

私の現在の収入は、ボーナス込みで5,000万円を超えました。数年前の良い時期に白金にマンションも買ったし、今年のボーナスでは、ポルシェを買いました。

ペーパードライバーですけど、色々と試乗を繰り返していたら、世間への反抗心も相まって、つい衝動的にお金を使いたくなってしまったんです。

似合わないブランド品に身を包み、星付きのレストランで、数人の同じような仲間と大騒ぎすることもしばしば。

周囲から嫌味を言われ同情されれば、「私は、もういいんです。お酒と結婚したんです!」と言って、ピエロのようにおどけます。弱音なんて、決して吐かない。

そんな私の人生が、幸せか、幸せでないか、私にも分かりません。

しかし、一つだけ言えることは、私は「岩」と呼ばれた女として、自分ができる精一杯の選択をしながら、生きてきただけ。

願う事は唯一、どうか皆さま、こんな私を、ただ放っておいてください。


【これまでの新・東京婚活事情】
vol.1:商社マンの憂鬱。婚期を逃した男の、危険すぎる癒しとは……?
vol.2:男は釣った魚にエサをやらない?外銀エリートと結婚した若妻の不満?
vol.3:婚活は懲り懲り。自称「普通の女」が結婚を諦めた理由
vol.4:自称「マメ男」の広告マンの正体は、薄っぺらい男。見抜いた女たちは...?
vol.5:「結婚願望のない男」を愛してしまった、一途すぎる女。その行く末は...
vol.6:真面目一本で生きてきた脳外科医。可愛い恋人は、残念な「○○女子」だった
vol.7:ヒマ人上等!何が悪いの?10年子なしのセレブ専業主婦の告白。