中古・新築を問わずマンション価格の値上がりが話題沸騰中の昨今、「今、私の家はいくら?」と同じくらいに多くの方の関心を集めているのが「この先、私の家の価格はどうなる?」という、今後の相場予測ではないかと思います。

マンション所有者の中には「オリンピックまで中古マンション価格は上がり続ける」という予想を持っているが多くいますが、みなさんは今後のマンション価格推移についてどのようにお考えですか?

今回は、東日本不動産流通機構が公開している月例マーケットウォッチのデータを参考に、2013年から現在までの都心部中古マンションの価格推移を改めておさらいし、今後の相場について簡単な予測を立ててみたいと思います。





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まずは過去3年間の中古マンション価格推移をおさらいしてみる

まず初めに、現在の市況を正しく理解するためにも、2013年~現在に至るまでの約3年強のマンション価格推移について東日本不動産流通機構のデータを利用し、都心3区(千代田区、港区、中央区)の平均成約坪単価をグラフにしてみました。

つまり、都心3区で成約した物件の平均坪単価(約3.3㎡あたりの成約価格)です。まずはこちらをご覧ください。

※対象エリア:都心3区(千代田区、港区、中央区)単位:成約平均坪単価(1坪=約3.3㎡あたりの価格)


グラフの通り、都心3区の中古マンション平均成約坪単価は2013年3月から2015年10月頃まで右肩上がりに上昇を続け、2013年4月に253万円/坪だった都心3区の平均成約単価は、2015年10月時点では340万円/坪を超える程に上昇しています。

70㎡に換算しますと、2013年4月には70㎡のマンションが5,366万円で成約していたのに対し、2015年10月には70㎡のマンションが7,212万円で成約している計算になります。(ちなみに、2013年4月の平均成約築年数は15.7年、2015年10月の平均成約築年数は16.5年。2015年のほうが古いマンションの成約が多いにも関わらず…です)

特に2015年4月頃〜2015年10月にかけては抜群の安定感を見せ、この頃に都心中古マンションの価格上昇についてメディア等でも頻繁に取り上げられる事となりました。その後、2015年11月からは一転して下降し、2016年3月には再び350万円/坪の高単価を記録するも、2016年に入ってからは上昇と下降を繰り返す不安定な市況となっています。

次に、「成約」ではなく「在庫」、つまり販売中である中古マンションの価格推移を見てみましょう。以下のグラフは都心3区内で販売中の中古マンションの平均坪単価(約3.3㎡あたりの価格)を表したものです。


平均成約坪単価と同様に、平均在庫坪単価についても2013年から右肩上がりに上昇を続けています。70㎡換算しますと、2013年3月には70㎡の中古マンションが平均6,406万円で販売されていたのに対し、2015年10月時点では70㎡の中古マンションが平均8,272万円で販売されている計算になります。

約2年半で70㎡の中古マンション価格が1,800万円も違うのですから、驚きですね。私たちのお給与もそれだけ上がれば嬉しいのですが…。


ふたつのグラフを重ねて比較!

2つのグラフを重ねてみた

では、前のページの平均成約坪単価グラフと平均在庫坪単価グラフを重ねてみましょう。すると以下のようになります。


どちらのグラフも右肩上がりに上昇を続けておりますが、こうしてグラフを重ねてみると以下の点に気づきます。


①2013年3月〜2014年9月頃まではグラフ間の間隔がほぼ変わらず推移している

②2014年10月〜2015年7月頃までは、グラフ間の間隔がそれ以前よりも狭い間隔で推移している

③2015年7月〜現在までは、グラフ間の間隔が最も広く空いて推移している


つまり、2013年3月〜2014年9月頃までは成約・在庫どちらの単価も同じような上昇率を辿っていたが、2014年10月頃から成約単価が急上昇を見せ、在庫単価との差が少なくなった。その後、2015年8月頃からは在庫単価が大きく上昇し推移をしているが、成約単価については上昇下降を繰り返しており、在庫単価との差が開いてしまったという形です。

要するに、現在の在庫単価は成約単価に比べて乖離が大きく、実際の市場価格からかけ離れつつある(または既にかけ離れている)という事が想定されます。

不動産市場に限らず、需給バランスが取れていない(つまり、商品の値段が高い)場合には、当然ながらこの需給バランスを近づけようとする(商品価格を下げる)作用が働きますので、この点から、筆者は今後都心マンションの価格は下がるのではないかと予想しています。


単価(価格)だけではなく、件数(数)も見てみよう

続いて、上では単価(価格)に絞ってみていきましたが、次は件数(数)に目を向けてみましょう。まずは、2013年3月〜現在に至るまでの都心3区(千代田区、港区、中央区)の月毎の成約件数をグラフにしてみました。


このグラフを見てみると、成約件数については各年毎に時期的要因(春先に成約が多い)などの傾向が見られますが、概ねどの年のどの月においても120件〜180件前後の成約件数となっています。

つまり、都心3区で毎月120件〜180件前後の中古マンションが売れているという事になります。(実際には、東日本不動産流通機構が運営している「レインズ」へ成約登録が行われない事もあると思いますので、各月の成約件数はもっと多いと思います)

次に、在庫件数つまり販売中物件の件数へ目を向けてみましょう。販売中物件の件数をグラフにするとこのようになります。


筆者もこのグラフには驚いたのですが、2014年12月時点では1,900件前後であった中古マンションの販売件数が現在(2016年7月)では約3,900件まで増加しているではありませんか。2倍をゆうに超える販売件数の増加率です。

中でも、2015年8月頃からの増加が著しく、この頃に多く取り上げられた「中古マンションの価格が上がっていますよ!」という報道や市況情報を得たマンション所有者が大量に自宅を売りに出した結果であると思われます。

ここで2つのグラフを勘案しますと、在庫(販売中)物件については大量に増加している一方、成約件数については大きな増加が無いという事が分かります。「市場に商品が溢れえっているのに対し買う人の数は変わらない」=供給過多に近い状態ですので、こちらも一般的な需給バランスを考えると、今後商品(マンション)の価格は下がると考えるのが一般的でしょう。


最も肝心な「今後の価格推移」について考えてみよう

最も肝心な「今後の価格推移」について考える

単価と件数の2軸から都心3区の市況を見てまいりましたが、現状を簡単に整理すると以下のような状態である事がわかります。


・成約件数に大きな変化が見られない中、在庫件数だけが急激に増加し、マンション選び放題な状態

・しかし、在庫物件は沢山あるもの価格が高く、成約価格との乖離が大きい状態


この2点を踏まえますと、今後引き続き都心3区のマンション価格が上昇する可能性は低く、むしろ価格が下がる可能性のほうがよほど高い状態にあると判断できます。また、2016年に入ってからの都心3区の平均成約単価が上昇と下降を繰り返している点についても「既に価格の調整期間に入っている」または「既に価格が下がり始めている」と捉える事もできるのではないかと考えます。

これらを総合的に勘案しますと、筆者自身は「オリンピックを待たずして、価格が下がる可能性が高い」と判断します。

そもそも、ここ数年の中古マンション価格の上昇にオリンピック開催が寄与しているとは言い難く、国外資金の流入や相続税対策としてタワーマンションが注目を集めたこと。

そして原材料費高騰による新築マンション価格の上昇、住宅ローン金利の引下げに伴う買い需要の増加等、その他の要因による部分が大きいと考えています。(もちろん、オリンピックに向け開発や整備の進む湾岸エリアなどは多少なりオリンピックが市況に影響しているとは思いますが)


都心中古マンションの「売り時」は過ぎてしまったのか?

上述の通り、筆者としては「今後都心3区の中古マンション価格はオリンピック前に下降に転じる」と予想していますが、では、都心3区の「売り時」はもう過ぎ去ってしまったのでしょうか?

結論から言うと、筆者としては「昨年ほどではないが、まだまだ十分に売り時である」と考えています。理由としては、平均成約坪単価のグラフにある通り、2015年11月〜現在にかけて都心3区の平均成約単は不安定な状態ではありますが、それでも2,3年前と比べると非常に高い成約単価水準にあるという事。

また、在庫・成約それぞれの単価上昇をけん引しているのは多くがタワーマンションや高級マンションと呼ばれる物件であり、港区・千代田区のタワーについては既に一般のサラリーマンが買える価格を逸脱しています。

一方で、タワーや高級マンションと呼ばれる以外のファミリーマンションについては、こちらも価格上昇を見せてはいるもののタワーマンションと比べるとその上昇幅は小さく、昨今の超低金利住宅ローンも影響し、まだまだ買いの需要がある段階です。これらをまとめると、


・タワーや高級マンションについては、大幅な利益を求めての高値売却は難しくなってきてはいるが、価格設定次第では十分に利益の出る価格で売り抜ける

・タワー以外のファミリーマンションについては、タワーに比べて上昇幅が小さく、かつ住宅ローン超低金利の影響で需要がある状態であるため、まだ「売り時」であると言える


筆者としてはこのように考えており、「在庫数の増加につき競合物件は多いものの、価格が本格的に下がる前に売り抜くのが吉」と考えています。

マンションの売却を検討中の方にとっては非常に気になるであろう今後の価格推移。皆様は今後のマンション価格推移についてどのように考えますか?

なお、マンションマーケットでは、気になる自分のマンション価格を個人情報の入力無しで簡易査定を行い現時点での価格を把握していただく事が可能です。また、市況関連・お住み替え等について専門の売却コンサルタントからアドバスを受ける事も可能ですので、マンションのご売却を検討中の方は是非利用されてみてください。

最後に、本記事内容の注意点として、本内容は都心3区の中古マンション価格に関して言及したものです。一般的に、中古マンション価格は都心部から徐々に波及していくと言われており、都心以外の城東エリアや城南エリアについては「まさに今が価格上昇の真っ只中」とも言われています。

エリアや立地条件、またはマンション個別の事情により本記事の内容が合致しない事がある点をご了承ください。


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